なーんて、半月しか仕事してないけれど、いっぱしのサラリーマン気分で今年を終われたのにはホッとしています。
サッポロではものすごく遅い真冬日です。
けど、バスに乗ったり、仕事場の倉庫がやたら寒かったりするので、
-27℃のルベシベでもあまり着なかった長袖のヒートテック肌着とタイツを身につけています。
今まではクルマに頼りきりでしたので、寒空の下バスを待つ身はつらいです。
昨日、きいろう君に、真冬には怪談話はあまり流行らないとコメ返したばかりですが、
ふと、アカーキィ・アカーキェヴィッチの幽霊の話を思い出しました。
ロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリの「外套」という小説の主人公です。
私は、小学生のころ、家にあった少年少女世界文学全集みたいなものの一巻でこれを読んで以来、情けなくもひたひたと迫ってくる怖さというものに心を奪われました。
アカーキィ・アカーキェヴィッチは無能ともいえる一公務員で、爪に火を灯すような生活をしていました。
彼の外套(ま、今でいえばコートですな)はツギハギだらけで、とても次の修理に耐えられるものではなく、
彼は倹約に倹約を重ねて金を貯め、それで高価な外套を購入します。
それは役所での話題となるほどの出来事でした。
ところがあっという間にそれを追い剥ぎに奪われた彼は、街の実力者に訴えますが、かえって嘲笑される始末。
やがてショツクと憤りの中でアカーキィは死に、その亡霊が高価な外套を着た者の周辺に現れ、
彼を貶めた有力者の乗る馬車にも、ボロボロの外套をまとった貧相な男の幽霊が出現します。
といったストーリーだったと思いますが、なにせ45年以上前の記憶ですから、もしかしたら全然違っているかもしれません。
子供の頃には、なぜ外套を奪われ、それを上位者にたしなめられたくらいでアカーキィが憤死したのか、そこがよくわかりませんでしたが、
多分アカーキィより年長になってしまった今では、それがわかる気がします。
小学生のころは、冬が嫌いなんて思いませんでした。
今は、一日でも早く3月になることを希求するおっさんがいます。