いわゆる「開洋丸事件」とされるものです。
1回目は、1984年12月18日、南大西洋フォークランド島近海でのことでした。
午前0時、船の北進中に、航海士がオリオン座の方向にフラフラと動く不審な光体を目撃します。
2等星ほどの明るさで、不規則な動きを見せた後、速度を上げ、東方向に飛び去りました。
この光体は、その後も10分おきに8回現れ、その都度違う動きをしました。
就寝中だった永延幹男農学博士も、起こされてこれを観察しました。
2度目の遭遇は、2年後の1986年12月21日、太平洋のウェーク島近海でのことでした。
午後6時と10時半の2回、レーダーに巨大な物体が映りました。
2度目の大きさは300メートル級のもので、タンカーに匹敵する大きさでしたが、目視しても何も確認できませんでした。
レーダー上の巨大な物体は、開洋丸にぶつかるほど接近しましたが、轟音が通過しただけで、やはり何も見えなかったといいます。
この航海には永延博士は乗船してはいませんでしたが、関係者から聴き取りを行い、これら2度の事件を論文にまとめ、それは1988年9月の日本語版サイエンス誌に投稿掲載されました。
科学者が科学雑誌に載せたUFO記事として耳目を集めました。
この事件に関しては、アルゼンチン軍ならびに米軍による秘密演習説が、どうやら有力のようです。
高性能のレーダーや機器を積んだ調査船は、軍事演習の仮想標的として、うってつけの的だというのです。
さらに外交的に弱腰の日本の調査船は格好の目標だったらしいです。
1回目の事件は、その2年前にフォークランド戦争が行われた海域なので、捲土重来を期すアルゼンチン軍が、演習に力を入れていたのはあり得ることです。
また2回目の事件は、敵レーダーにゴーストを映し出す、ECM装置のテストである可能性が高いというのです。
ジャミングと呼ばれる電子攻撃ですね。
UFO好きな人の中には、やはり異星人説でこれを持ち出す人もいるかもしれませんが、
宇宙人やそれ以外のなにかアヤシイものでないにせよ、未確認飛行物体という意味でのUFOの詳細をうかがわせる事件ではあります。