カフェーの帰り道

 島津輝★★★★☆ 第174回直木賞受賞作

▼大正ロマン、戦前から戦後 女性たちが置かれた境遇を背景に

小さなカフェーで働く女性たちの生き様が描かれるセピア色の物語

▼大正末期から昭和にかけて破壊と成長が混在する中

一生懸命生きていく女性たちに胸を打たれる

▼大切な何かを守る女性、新たな挑戦をする女性、

戦争に息子をとられた女性、夫の浮気を疑う女性など連作短編5話

▼どれも結末は前向き しみじみとした感動に包まれる一冊だった

 

暁星(あけぼし)湊かなえ★★★★★ 

2026本屋大賞第6位

▼安倍元総理銃撃事件をモチーフにしたと思われ作品

▼宗教2世の苦しみ、宗教と政治の闇、宗教と大企業がつながる事の

恐ろしさを見事に描いている▼宗教団体と癒着していた

文部科学大臣の清水義之が演説中に刺され死亡する▼逮捕されたのは

永瀬暁(ながせあかつき)37歳、宗教にのめり込んだ母親によって

人生をめちゃくちゃにされた▼何故事件を起こしたのか 暁は

獄中から手記を発表▼さらに暁の恋人で同じ宗教二世として苦労した

小説家金谷灯里(あかり)が、この事件を題材にした小説を発表する

▼幼いころから共に宗教に翻弄され、互いに支え合ってきた2人

灯里はフィクションとして「小説」で事件の背景を綴ったのだが 

手記と灯里の小説を合わせ読むと

手記の中にあるフィクション 小説の中にある真実を感じ取る

事ができるのであります▼手記と小説の対比で事件の真実に迫る

見事な手法「凄い」の一言です

 

黒牢城 米澤穂信★★★★☆ 

第166回直木賞受賞作

▼映画が大ヒットしているようで、ならば原作を読んでみようと・・

▼確かに面白い!戦国時代の出来事を史実を元に推理小説として展開

▼織田信長に反旗を翻した荒木村重が籠もる有岡城で不可解な

出来事が次々起きる▼真相解明に一躍買うのが有岡上に幽閉されている

黒田官兵衛▼村重はその頭脳欲しさに官兵衛を殺さず半ば飼い殺しに

していたのだが▼村重は城で不可解な事件が起きるたびに官兵衛に

相談、官兵衛はその都度ヒントを与え 結果 村重は全ての事件を

解決していくという展開

▼戦後の世、寝返り、密告、嘘の吹聴・同じ城に住む人間を誰も

信じられない状況の中 疑いが疑いを招き全ての事件の黒幕が

暴かれたとき「そう来たか!!」と‥ひっくり返りましたがな

 

青天 若林正恭☆☆☆ 

第174回直木賞受ノミネート

▼高校の運動部としてはマイナーな部類のアメフト部

▼主人公は総大三高の「アリ」こと中村昴

総大三高のアメフト部は弱い、万年2回戦どまり

▼そこで中村は数人の仲間とともに、相手高校のスパイや

奇抜な作戦で何とか2回戦を突破しようと試みる

▼アメフト部の部員はすべからく変わり者でヤンチャ

酒は飲む、タバコは吸う、練習はさぼる、そんな連中がどんなに

努力しても強くなるはずがない▼しかしやんちゃなりに勝つための

努力をするようになるのだが・・その努力の方向性は間違いだらけ

▼結果が出ない小手先の努力が淡々と描かれる

▼とはいえ どんな努力も決して無駄にはならない

努力は人を成長させるから

▼どの登場人物にも感情移入できないが

アメフトを通じ作者の若林正恭自身が経験した「無駄な努力などない」

というメッセージが伝わってくるアメフト部員の青春群像劇

 

スモールワールズ

一穂ミチ★★★★

2022年本屋大賞第3位 165回直木賞候補 

▼のっぺりとしているようで棘の刺さる作品ばかり6話短編集

▼中でも凄かったのは3話のピクニック

▼娘の子ども(孫)を預かる事になった母親

気付いたら孫が布団の中で冷たくなっていた▼母親は虐待の容疑で

警察に逮捕されてしまう▼孫の体には外傷がないにも関わらず

警察は何故母親の虐待を疑ったのか▼やがてその理由が見えてくると

実に切なくも恐ろしい母と娘の過去が見えてくる

▼5話の愛を適量も恐ろしい展開

▼高校の教師をしている慎吾、娘がいるが離婚した母親が引き取り

もう10年程あっていなかった▼ある日その娘が突然慎吾の前に現れた

▼その姿を見て愕然、娘は男になっていたのだ・・そこから始まる

父と娘(息子?)の2人の生活▼やがて親子の間にあるべき愛情が

復活したかに思えたのだが・・

▼そこからまさかまさかの恐ろしい展開へ・・6話全て必読です!