「ラブカは静かに弓を持つ」 

       安壇美緒 ★★★☆☆

▼申し訳ございません、本屋大賞に2位なのに私の胸には

刺さらなかった!心が歪んでるのかしら(焦)

▼題材は実に面白かったです。音楽教室からも著作権料を

徴収するか否か▼著作権協会の若手男性職員がスパイトして

ある音楽教室に送り込まれる▼この職員は以前チェロを

かじった事があり、チェロを習うことにするのだが

練習曲としてクラシックではなく「日本のポップス」を選択

その様子を録音し裁判の証拠にしようと企てる

▼ところが音楽教室に通い始めると講師や生徒と仲良くなり

罪の意識が芽生え始める・・その結末や如何に

 

「光のとこにいてね」

        一穂ミチ★★★★☆     

▼結末にがく然としましたが作品の出だしから一行一行に

釘付け▼幼いころに出会った少女2人の時間軸の長い物語

▼共に親の愛に飢えながら成長していった2人は 別れと

再会を繰り返しながらやがて依存しあう関係になっていく

▼互いに結婚をし子どもを設けたものの「幸せ」と呼ぶには

何かが足りない▼その足りないものを埋め合う2人、夫の

存在感が薄れていく▼実に骨のある「百合小説」であります
 

「月の立つ林で」

      青山美智子 ★★★★

▼新月の日に心を新たにする人たちの「連作短編集」

▼ポッドキャストの男性DJが語る「ツキない話」が5つの

物語を繋いでいきます▼仕事に行き詰った人、新たな

生き方を模索している人、娘婿との折り合いが悪い人

▼人が抱える悩みは様々、他人から見れば小さな悩みでも

本人にとっては生きるか死ぬか切羽つまった状況に

陥る事もある▼悩める人達に優し言葉で語りかけ

新たな一歩を踏み出すためにそっと背中を押してくれる

そんな作品です▼「月」のうんちくが勉強になります

 

 

「成瀬は天下を取りに行く」

     宮島未奈  ★★★☆☆

▼何も考えずに読み進められる実に痛快で心地良い一冊

▼主人公の行動力に脱帽、世の中意味のある事ばかり

追い続けていてもつまらない▼つまらないことであろうが

何か目標をたてそれを達成することに全集中する主人公の

女子高校生・成瀬

▼継続は力なり、下らない事でもやり続ける事で辿り着く

自己開発。これに共感する人 しない人、様々いるが

成瀬は自分に対する悪口を跳ね返すものすごいエネルギー

を持っているのであります▼中学・高校時代を全力で

駆け抜けた青春活劇なのであります

 

赤ずきんちゃん旅の途中で

          死体と出会う」 

      青柳碧人 ★★★☆☆

▼四の五の論評する作品ではありません、その発想に

脱帽であります▼親が子どもに読み聞かせてあげた童話の

主人公はみな殺人犯だった・・という突飛なミステリー

▼旅の途中で赤ずきんちゃんが出会うのは 

シンデレラ・ヘンゼルとグレーテル・眠れる森の美女

・マッチ売りの少女・・等

▼本来のストーリーを踏襲しながら殺人事件を散りばめ

アリバイ崩しや謎解きを楽しむ一冊です。普通に面白い