「正欲」 朝井リョウ ★★★

▼昨今頻繁に使われる「多用性」という概念に一石を投じた作品

▼人種、LGBT、性癖、様々なマイノリティーを表舞台に引きずり出し権利を与えようとする動きに対する違和感や疑問が投げかけられている▼多様性の押し付けはマイノリティーの中のマイノリティーにとっては邪魔で面倒くさいものになってやしなか・・とても後味の悪いイヤミスな作品です

 

余命10年 小坂流加 ★★★☆☆

▼最初から最後まで悲しい作品▼自身の余命を知った人は残された時間をどんなモチベーションで過ごしていけばいいのか

▼家族との関わり方,友達との関わり方、そして愛する人との

関わり方▼自分に置き換えて考えた場合 主人公のような選択になるのか▼読者はその答えと向き合うことになります

 

修羅の都 伊東 潤 ★★★☆☆

▼源頼朝は痴ほう症だったのね?そんな可能性に焦点をあてた

作品であります▼頼朝の死は謎めいています。落馬により死亡したというのが大方の見方ですが、では何故落馬したのか?

心臓発作・脳梗塞・・諸説ある中、この作品は頼朝の痴呆が落馬の背景にあるとの見立てで物語が進みます▼晩年、ボケた頼朝の言動は奇々怪々なもとなり政子や側近たちの手に負えなくなっていくのであります▼これが落馬とどう繋がるのかでありますが

その点こそがこの作品のクライマックス、面白さもMAXであります

 

赤と青とエスキース 

   青山美智子 ★★★☆☆

▼なんてことのないストーリーを最後まで読ませてしまう構成の妙がお見事▼平々凡々な日常に時々訪れる嬉しいエピーソード

▼そのささやかなときめきに気付くか気付かないかで生きていく面白さがまったく変わってくるのであります▼生きるのは面倒臭いが死ぬのはもっと面倒臭い▼ささやかな喜びに「気付く」こと「感じる」ことはとても大事▼若いころに掲げた理想を具現化できる人は決して多数派ではありません▼くじけた後こそが本当の意味での人間力が大事になってきます▼何を幸せと感じるかは人それぞれ、人の数だけ幸せの定義は存在します▼この作品は主人公の女性が海外留学中、有名な画家に描いてもらった自身の

肖像画が 自分の人生を見守り続けてくれるという

とってもアンニュイな作品です。

 

日本国紀 上下 

     百田尚樹 ★★★

▼絶えず手元に置いておきたい一冊であります

▼古代から平成までの日本の歴史を駆け抜けていきます

▼「あれこの時代って何があったっけ?」という時にこの本の

ページを開くと直ぐに答えがみつかります▼戦前も戦後も世界の列強と肩を並べた東洋の極めてまれな国▼朝日新聞がいかに日本の歴史をゆがめてきたかも良くわかります(笑)