「硝子の塔の殺人」 

     知念実希人★★★★

▼ミステリー小説が大好きな名探偵・月夜、随所で始まる

「ミステリーのうんちく」が凄すぎる

▼冒頭から犯人がわかっていて古畑任三郎的な作品かと

思いきやまったく違いましたわ

▼回転扉から上手く出られずぐるぐる回りようやく出たと

思ったらまた新たな回転扉が待ち受ける・・というような

作品です▼それにしても知念実希人さん何度ノミネート

されるも本屋大賞とれませんな

 

「生きてさえいれば」

    小坂流加★★★★

▼「余命10年」の出版後38歳の若さで亡くなった

小坂流加さん▼死後彼女のノートパソコンからみつかった

のがこの作品「生きてさえいれば」であります

▼死を目前にした「春桜」は大学生時代の恋人に宛てた

手紙を封筒の中で温め続けていた▼悲しい別れから幾年月

彼は今どこにいるのか?届けたくとも届けられない手紙

▼そこで春桜の甥で小学6年生の「千景」が一役買うことに

なる▼すると千景が遭遇した元恋人もまた辛い現実と

戦いながら必死に生きていた▼現在と過去がカットバック

しながら悲しくも素敵な恋の物語が無数の星と共に

ブラックホールへと吸い込まれていく

▼物語の最後に明かされる手紙の内容は・・・涙・涙

 

 

「高校事変xii」完結編

  松岡圭祐 ★★★

▼高校事変がついに完結

▼オウム真理教の「地下鉄サリン事件」や安倍元総理の妻

昭恵夫人がおバカぶりを発揮した「森友学園事件」

さらには「桜を見る会」までもがブラックにデフォルメされ

皮肉の利いた物語の結末、荒唐無稽を極めていて実に

面白かった!▼松岡圭祐さん昭恵夫人が大嫌いという事が

よく分かりました(笑)

 

「村上海賊の娘」 和田竜 ★★★

▼織田信長と大坂本願寺の戦い!どちらに味方するか・・

そのかけ引きから始まり「人望」とは何かを問いかける

▼大小様々な集団を率いるリーダーたち、その立ち回りや

判断能力が数千人の部下たちの命運を左右する

▼リーダーに求められる資質とは何か、実はこれ今も昔も

まったく変わっていない事をこの物語が教えてくれる

▼ましてや「この人に付いていこう!」と思わせるリーダー

には男も女もないのだ、「村上海賊の娘」」は今盛んに

叫ばれている「ジェンダー平等」のパイオニアであります

▼戦国時代のジャンヌダルクは既にこの時「女らしさ」

「男らしさ」という概念を見事払拭していたのであります

 

 

「あの日君は何をした」

    まさきとしか★★★☆☆

【読後嫌な気持ちになるミステリー】イヤミスの極みです

▼「歪んだ理想」と「過度な愛情」で家族を重たい空気に

させていく主婦・いずみ 夫や子どもの拒否反応に気づかず

「自分は完璧」そして「幸せだ」と暗示をかけ続ける

▼そんな人に限ってとてつもない不幸に見舞われるものだ

▼ある日の深夜、溺愛していた息子の大樹が連続殺人事件の

容疑者に間違われ警察に追われる中で事故死してしまう

▼物語の核は「連続殺人事件の真犯人は誰か」ではなく

「何故高校生の大樹が深夜に出歩いていたのか」であります

▼その謎は15年後に起きるある殺人事件をきっかけに解明

されていく事になります▼登場人物たちの「壊れた心」が

引き寄せる「負の連鎖」がやがて2つの事件を一本の線で

結んでいくのであります▼「完璧な母親」がとにかく怖い

▼なんともイヤな読後感を覚悟してお読みあれ