「同志少女よ敵を撃て」

     逢坂冬馬 ★★★★

▼なんともタイムリーな作品であります

▼家族をドイツ兵に殺され復讐を誓う主人公「セラフィマ」

▼ロシアの狙撃兵となり一人、二人と敵を殺していくのだが

▼同時に戦争の異常心理の中で壊れていく人間たちの姿を

目の当たりにする▼略奪、強姦、虐殺、ドイツ兵だけでなく

ロシア兵の蛮行もひどかった▼自分の本当の敵は誰なのか

最後にセラフィマが銃を向けた相手は・・

▼クライマックスの迫力が凄いです

▼2022年の本屋大賞に輝いた作品

 

「天馬、翔ける 源義経」

   安部部龍太郎 ★★★☆☆

▼NHK「鎌倉殿の13人」も遂に頼朝VS義経編に突入

この本が三谷さんの脚本の行間を埋めてくれます

▼戦は上手だが道理が分からない義経。こういう人どの会社

にも居ますわな▼源氏の分裂を目論む後白河上皇に操られ

頼朝の怒りを買う義経▼本書は頼朝に追われる義経が奥州へ

敗走するまでが描かれています

▼尺の都合で「鎌倉殿の13人」ではすっ飛ばされている

大事なエピソードがわかるので、大河と並行して読んで

大正解であります

 

「彼女が最後に観たものは」

   まさきとしか ★★☆☆☆

▼クリスマスイブ新宿でホームレスの女性が殺害され

その指紋から過去の未解決事件との繋がりが浮上する

▼心が壊れてしまった人たちの心理描写が絶妙であります

▼推理小説というよりホラーですわ▼偏った考え方を持つ

人たちが自分で自分を追い詰めていく▼登場人物が多くて

「この人誰だっけ?」とページを戻ること度々

▼直面する出来事に対しイチイチ歪んだ解釈をする人たちが

辿り着く 実にもどかしい悲劇であります

▼読後感は極めて悪い作品です

 

「自由研究に向かない殺人」

 ホリー・ジャクソン ★★★★

▼主人公の女子高校生が自由研究のテーマに撰んだのは

「自分の住む町で5年前におきた殺人事件」

▼その事件の結末がどうにも気に入らないらしい

▼同級生の女子高校生が行方不明となり、警察から事情を

聞かれていた恋人の男子高校生が自殺

▼警察は男子高校生が女子高校生を殺害したと断定し

被疑者死亡のまま起訴、有罪が確定します

▼しかし未だに女子高校生の遺体が見つかっていない

▼主人公は「自由研究」の名のもと当時の関係者を

取材すると新たな事実が次々発覚、事件の真相に辿り着く

 

「わたしの美しい庭」

    凪良 ゆう ★★☆☆☆

▼凪良作品は「流浪の月」に次いで2作目であります

▼今回の作品のテーマはずばり「多様化」でしょうか

▼マイノリティーの人たちが額を寄せ合い

頑張って生きていくという作品です

▼LGBT、鬱病、血縁なき父娘・・等、登場人物は誰もが

重たい事情を抱えていまますが、そんな人たちが支え合い

前向きに行きていく術を見出していきます