この小説は生肉小説と缶詰小説の2種類が入っています。

生肉が私 缶詰がGPTです。

生肉と缶詰あなたはどちらが好きですか?

さよならわたし①

 

 

 

生肉小説

 

 

   さよならあなた。

   さよならわたし。

 

   春子は心の中でつぶやいた。

 

   さよなら あなた。

   さよなら わたし。

 

   もう一度今度は深く味わいながら

   つぶやいた。

 

   彼女は甘美な水色の泉の中で浮かんでいる自分を

   思い出していた。

   すると


   チリンチリン

   風鈴の音が鳴った。

 

   チリンチリン

 

   外からだろうか?

 

   春子は目を半開きした。

   そして 静かに布団の中で

   伸びをして

   うぅーーーーとうなり声をあげ

   起き上がった。

 

   

 

   シャー

 

   カーテンを開け

   

   ガチャ

 

   春子は思いっきり窓をあけた。

 

   生ぬるい風が入ってきた。

 

   ぼさぼさの髪。Tシャツとテラテラしたズボンすがた。
   寝起きのバツの悪い自分を外の建物の窓に

   さらすことを躊躇しつつも

   ベランダに出てみた。

 

   はだしだった。

   

   足のうらにほのかなぬくもりを感じる。

 

   春子は彼をおもいだした。

   しゅん。ありがとう。

    

   ベランダの床はテコポコテコポコ

   細かいタイルのような装飾がされていた。

   職人のさりげないやさしさ。技。

 

   その床は

   春子の足の裏にベタリと

   黄砂がつくことを

   防いでくれた。

 

   優しいぬくもりで彼のぬくもりを再び

   思い出した。

   はぁ~

   

   春子ははたからみると普通だった。

   しかし、本当は妖しくも甘美な幻想に

   浸っていたのだった。

   目の周りの渕の粘膜が刺激され

   思わず目をこすった。

   目やにがついた。

   昨日の涙の後だった。

   そうだ、私 お別れしたんだっけ。

   現実に引き戻された。

 

   チリン チリン

 

   風が吹いた。

 

   

   ななめ向こうの方の森の方に里見女子大の寮が見える。

  

   生ぬるい風とととに

 

   アイスクリンのようなバニラの香りがどこからか

  

   匂ってきた。

 

   甘いバニラを薄めたシャリンとした匂い。

 

   それはミルクセーキを攪拌して凍らせたような

   脂肪分の少ないあっさりとした

   さわやかなバニラのジェラードの匂い。

   

  

   チリンチリン

   また聞こえた。

 

   今度はずいぶん下の方から聞こえた。

 

   もしかしたら

   どこかの家の洗濯物の柔軟剤の匂いと

   どこかの家の風鈴の音だったのかもしれなかった。

 

   春子は伸びをして一呼吸すると

   部屋に入り窓を閉めた。

 

   そしてつぶやく

   『 空気入れ替え完了。
    

     キノウノワタシサヨウナラ。

  

     キョウノワタシ オハヨウ 』

 

   そういいながら時計の針を見るともう10時半を過ぎていた

   今日は日曜だった。

 

   ー続くー

 

 

 缶詰小説

 

 

春子は心の中でさよならをつぶやいた。
「さよなら、あなた。さよなら、わたし」と再度呟いた。
深く感じながらも、彼女は甘美な水色の泉に浮かんでいる自分を思い出していた。
すると、チリンチリンと風鈴の音が鳴った。

もう一度

チリンチリンと音が響く。


外からの音だろうか?

春子は目を半開きにして静かに布団の中で伸びをし、

 

「うぅーーーー」とうなり声をあげて起き上がった。

 

シャーとカーテンを開け、ガチャと窓を思い切り開けた。
生ぬるい風が入ってきた。
春子はぼさぼさの髪で、Tシャツとテラテラしたズボン姿のまま、
寝起きのバツの悪さを外の建物の窓に晒すことを躊躇しつつも、ベランダに出てみた。

彼女は裸足だった。

足の裏にほのかな温もりを感じる。
春子は彼を思い出した。


「しゅん、ありがとう」とつぶやく。

 

ベランダの素材にはテコポコテコポコ
細かいタイルのような装飾がされていた。


職人のさりげないやさしさと技が感じられる。

その床のおかげで足の裏にベタリと黄砂がつくのを防いでくれた。


春子はその優しいぬくもりで、彼のぬくもりを再び思い出した。
「はぁ~」とため息をつく。

 

春子は外から見ると普通の姿だったが、
実際には妖しくも甘美な幻想に浸っていたのだった。

目の周りの渕の粘膜が刺激され、思わず目をこすった。

目やにがついていた。それは昨日の涙の後だった。
そうだ、私はお別れしたんだっけ。現実に引き戻された。
 

チリン、チリンと風が吹く。
ななめ向こうの方の森の中に里見女子大の寮が見える。

生ぬるい風と共に、どこからかアイスクリンのような
バニラの香りが漂ってきた。

甘くてさっぱりとしたバニラのジェラードのような香りだった。
 

「チリンチリン」とまた音が聞こえた。
今度はかなり下の方からだ。
どこかの家の洗濯物の匂いと風鈴の音がミックスされて
風と一緒に春子の家のベランダまで上がってきたようだった。

春子は伸びをして一呼吸し、部屋に入り窓を閉めて小さな声でつぶやいた。


「空気入れ替え完了。昨日の私さようなら、今日の私おはよう」

 

そう言いながら時計を見ると、もう10時半を過ぎていた。

今日は日曜日だった。