第1章:春の予感

5月のある朝、小さな町は静かなざわめきで目覚めた。
空は澄み渡り、鳥たちの歌が心地よいリズムを奏でていた。
町の人々は、それぞれの日常を始める準備をしていた。

しかし、この日は何かが違った。
町の外れにある古い神社の境内から、ふわりと光が漏れているのが見えた。
それは普通の光ではなく、まるで夢の中のような幻想的な輝きだった。

「またあの光が…」 町の図書館で司書をしている美咲は、窓からその光を見つめながらつぶやいた。
彼女はこの町で生まれ育ち、幼い頃から毎年5月になると現れるその光に憧れていた。

その日、図書館にはいつもと違う訪問者が来た。
名を「ユウ」という若い男性だ。彼はこの町に伝わる古い伝説を調べに来たという。
美咲はユウに興味を持ち、二人は話をするうちに意気投合した。

伝説によると、5月の不思議な光は、古代の神が遺した宝物が隠されたサインだという。
そして、その宝物を見つける者には、願いが一つだけ叶うとされていた。

美咲とユウは、この伝説の真実を確かめるために、共に神社へと向かうことにした。
二人が神社の門をくぐると、そこには別世界が広がっていた。時間が止まったような静寂と、色とりどりの花々が咲き乱れる庭園。
そして、中央には古びた石碑が立っていた。

「これが、伝説の…」ユウが呟くと、石碑から光が溢れ出し、二人を包み込んだ。その瞬間、美咲とユウの冒険が始まった。