雪が降る日が好きだった。

白くてきらきらとした結晶が空から舞い降りる様子は、まるで魔法のように感じられた。

雪は冷たくて、触れるとすぐに溶けてしまうけれど、それでも私は雪を見るのが好きだった。

私は毎日、学校から帰ると、窓辺に座って雪を眺めていた。

雪が降ると、世界が静かになる。車の音や人の声や時計の針の音が聞こえなくなる。

雪が降ると、時間が止まるような気がする。

私は雪が降る日に、彼に出会った。

彼は私の隣の家に住む少年で、同じ学校に通っていた。彼はいつも一人で、誰とも話さないでいた。

彼は私にも話しかけなかった。でも、私は彼が雪が好きだということを知っていた。

彼も私と同じように、窓辺に座って雪を見ていたから。

ある日、私は勇気を出して、彼に話しかけた。

私は彼の家の前に立って、雪だるまを作っていた。

彼は窓から私のことを見ていた。私は彼に手を振って、笑顔で「こんにちは」と言った。

彼は驚いたように目を見開いたが、すぐに窓を閉めてしまった。

私は悲しくなった。彼は私と話したくないのだろうか。

でも、私はあきらめなかった。私は毎日、彼の家の前に立って、雪だるまを作った。

雪だるまにはにんじんの鼻と石の目とボタンの口をつけた。

雪だるまには帽子とマフラーと手袋をかけた。雪だるまには私の名前と彼の名前を書いた。

私は雪だるまに「彼と仲良くなりたい」と願った。

そして、ついに、彼は窓を開けて、私に話しかけてくれた。彼は「ありがとう」と言った。

彼は「雪だるまがかわいい」と言った。彼は「君の名前は何?」と聞いた。

私は「私の名前は雪子」と答えた。彼は「僕の名前は雪夫」と言った。私は「雪子と雪夫、似てるね」と言った。

彼は「そうだね」と言って、笑った。

私たちは雪が降る日に、雪だるまを作ったり、雪合戦をしたり、雪の天使を作ったりした。

私たちは雪が降る日に、手をつないで歩いたり、雪の結晶を見たり、雪の話をしたりした。

私たちは雪が降る日に、幸せだった。

私たちは雪が降る日に、恋に落ちた。私たちは雪が降る日に、キスをした。

私たちは雪が降る日に、約束をした。私たちは雪が降る日に、永遠に一緒にいると誓った。

でも、雪はいつまでも降り続けるわけではなかった。春が来て、雪は溶けて、水になって流れていった。

私たちの雪だるまも、にんじんの鼻も、石の目も、ボタンの口も、帽子とマフラーと手袋も、私たちの名前も、消えてしまった。

雪夫も消えてしまった。彼は私に別れを告げずに、家を出て行ってしまった。

雪夫はどこへ行ったのだろう。彼はなぜ行ってしまったのだろう。彼は私のことを忘れてしまったのだろうか。

私は雪が降る日が嫌いになった。

白くてきらきらとした結晶が空から舞い降りる様子は、まるで嘘のように感じられた。

雪は冷たくて、触れるとすぐに溶けてしまう。雪は私の心も溶かしてしまった。

私は雪が降る日に、雪夫を待った。私は雪が降り続けるように願った
彼がもどってくるまで

私は雪が降る日に、彼を待った。私は雪が積もったベンチに座り、雪夫からの電話を待った。

私は雪夫の声が聞きたかった。私は雪夫の笑顔が見たかった。私は雪夫の温もりが感じたかった。

私は彼の心が分かりたかった。

私は何度も電話をかけた。呼び出し音が鳴った。

一回、二回、三回。私はドキドキした。私は彼に話したかった。

私は雪夫に会いたかった。私は雪夫に愛していると言いたかった。

私は彼に一緒にいたいと言いたかった。

四回目の呼び出し音の後、彼の声が聞こえた。それは録音されたメッセージだった。

「ただいま電話に出られません。メッセージを残してください。」私はがっかりした。

私はメッセージを残すべきだろうか。私は何を言えばいいのだろうか。

私は言葉が見つからなかった。

私は切ろうとした。そのとき、雪夫の声がもう一度聞こえた。

「雪子へ。」私は驚いた。私は耳を澄ませた。

「雪子。私は雪子のことを忘れません。

私は雪子のことを愛しています。

私は雪子のことを待っています。

私は雪子に会いたいです。私は雪子に話したいです。

私は雪子に謝りたいです。私は雪子に幸せになってほしいです。」

私は信じられなかった。私は涙があふれた。私は嬉しかった。

私は雪夫の気持ちが分かった。私は彼の想いが伝わった。私は彼の願いが届いた。

私は彼の声が聞こえた。私は彼の笑顔が見えた。

私は雪夫の温もりが感じた。私は彼の心が分かった。

私はメッセージに返事をした。

「私も。」私は電話を切った。私は立ち上がった。私は走り出した。

私は雪夫に会いに行った。私は幸夫に話しに行った。私は雪夫に謝りに行った。

私は雪夫に幸せになろうと言いに行った。

雪は降り続いた。空は晴れていた。月と星が輝いていた。

雪はキラキラと光っていた。それはまるでダイヤモンドのようだった。それはまるでダイヤモンドダストのようだった。