
ある年のクリスマスイブの夜、雪が降り続いていた。小さな村に住む少年トムは、
窓辺に飾られた水晶の球を見つめていた。水晶の中には、雪景色の村が精巧に再現されていた。
トムはいつも、水晶の中の村に住んでいる人たちのことを想像していた。
彼らはどんな暮らしをしているのだろうか。クリスマスはどんなふうに祝うのだろうか。

トムは水晶の球を手に取って、そっと振ってみた。すると、水晶の中の雪が舞い上がって、キラキラと光った。
トムはうっとりとその美しさに見入っていたが、ふと気づくと、水晶の中の村に吸い込まれてしまった。
トムは驚いて叫んだが、誰も彼の声を聞くことはできなかった。
水晶の中の村に着いたトムは、周りを見回した。
雪が積もった屋根や窓、煙突から出る煙、灯りがともる教会や家々。
すべてが本物のように見えた。
トムは不思議に思いながら、歩いてみた。
すると、村の人たちが出迎えてくれた。彼らはトムを温かく迎え入れて、自分たちの家に招いてくれた。
トムは村の人たちと一緒に、クリスマスの食事や歌やゲームを楽しんだ。村の人たちはみんな優しくて、トムはすぐに打ち解けた。
トムは水晶の中の村で、最高のクリスマスを過ごした。

やがて、クリスマスの夜が明けた。
トムは村の人たちにお別れを言って、水晶の球の中に戻った。
トムは水晶の球を振って、雪を舞わせた。すると、水晶の中の村の人たちが手を振ってくれた。
トムも手を振り返した。トムは水晶の球を窓辺に戻して、自分の家に帰った。
トムは家族に水晶の中の村のことを話したが、誰も信じてくれなかった。
トムは悲しくなったが、水晶の球を見ると、村の人たちが微笑んでいた。
トムは心の中で、ありがとうと言った。トムは水晶の中の村のことを、一生忘れないだろうと思った。

