宝塚音楽学校入学要綱にある『女子』とはこのままでいいのか?

宝塚でもOSKでも募集要項に『女子』〇名とあります。

 

宝塚は「女性だけ」の劇団ではありますが、

女子というのもどう定義していくのでしょうか?

 

人間は様々な構成要素から作られ、染色体でも46XX型は女性的、46XYは男性的身体への分化を促すといわれています。

しかし

46XX型の男性

45X型

47XYY型

等もあるのです。 

【参考:一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同 (著), 佐藤文香 (監修). 2019. ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた―あなたがあなたらしくいられるための29問, pp.26-7】

 

性器も男女に分類できない形状も一定の割合存在しています。

 

オリンピック等の運動競技でも1948年に初めて性別確認検査が導入されてから、

 

視診で外性器の形状を調べる方法

口内粘膜の採取より染色体を調べる方法

PCR法で性決定遺伝子を検出する方法

へと変容をし、

最近では人権に配慮する観点から現在は疑義事例が発生した場合に限り検査が実施され、

 

2015年以降は解剖学的な性別に関係なくIOCでも

 

体内のテストステロン値が一定の範囲内

 

という条件が課されるようになりました

【参考:青野篤子, 土肥伊都子, 森永康子 ., 2022. ジェンダーの心理学:「男女」の思いこみを科学する. p.9】

 

しかしパフォーマンスに有利に働く指標がこのテストステロン値だけかという疑問もあり個人差のある多様な人の体を性で明確に線引きするのは難しく、この峻別にこだわっているように見えると述べ現行の枠組みの見直しを求めている方も多いとのこと。【参考:來田享子. 2020. 「男」「女」と分けていい? 揺れる性別二元論. 東京新聞.】

 

Fausto-Sterling (1993) は2つの性では不十分と5つの性について語っています。

【参考:Fausto‐Sterling, A. (1993). The five sexes. The sciences, 33(2), 20-24.

 

このように女性の身体についての基準は非常に曖昧なんですよね。

なので前回男性加入を検討のブログ(記事はこちら)で言っていたように、

 

日本でもジェンダーアイデンティティが流動的なものとして捉えられ

女子大でもトランスジェンダー女性を受け入れ始めています。

 

この背景には性自認が重要視されています。

 

どこをとっても男女にわけられないのだから、自分が自分の性別をどう考えるかが尊重されているということです。

それは政府が発行する身分証明書等よりも大切だ、とされているんですね。

 

トランスインクルーシブという事は、女子大学としてのミッションを消し去る事ではなく、アップデートする事である

【参考:女たちの21世紀:特集:フェミニズムとトランス排除(no.98).2019.発行:アジア女性資料センター発売:夜光社(著). pp.31-6】

 

いまはまだ、ファンのほとんどの方が自認女性を受け入れるというとすんなりいかないかもしれませんが、

宝塚歌劇団においてもアイデンティティを保ったうえでのアップデートは必要なんじゃないかなと思います。

 

少なくとも宝塚音楽学校の受験要綱の「女子」の基準をどうするのか、

自認を重要視するのか、身体的性を重要視するのか…など検討し始めなければいけないのだろうなと思います。

 

 

つづく