EBITDA有利子負債倍率は企業の負債返済能力を評価する指標で有利負債をEBITDAで割った値です。この数値が高いほど返済負担が重いことを示し、企業の財務リスクが高いと判断されます。

 EBITDAは企業価値評価の指標で利払い前・税引き前・減価償却前利益のことをいいます。会計上の利益である純利益に関係する税率や借入金利・減価償却費の扱いは企業によって異なるため、EBITDAは国際的な企業価値の比較や評価をする場合、こうした違いを排除した控除前の利益としてEBITDAが有効と言われています。

 EBITDAは1年間の営業キャッシュフローに相当するとされており、そのためM&Aの実務において企業価値の評価や取引価格の決定に重要な役割を果たしています。 EBITDAを計算してその企業のEBITDAが高ければ基本的な収益性が高いと判断できます。

 また、M&Aにおける取引価格はEV/EBITDA倍率というEV(時価総額からネットキャッシュを差し引いた企業価値)をEBITDAで割った値を用います。業界平均のEV/EBITDA倍率と比較することで買収しようとする企業の価格が適正かどうかを判断する材料として使われます。負債を含む企業の完全買収コストの回収にかかる年数を示し、値が小さいほど割安と評価されています。

 企業を買収する際は買収する企業の純資産に加えて「のれん代」がかかるとされており、買収で支払った金額と買収先企業の純資産との差額ともいえます。企業が保有する無形固定資産のことでブランド力や技術力・ノウハウなどを指し貸借対照表には「のれん」として記載されます。

 のれん償却は企業の買収や合併などではっせいするのれんの価値を一定期間にわたり償却することを指します。償却費用は「販売費・一般管理費」の勘定科目を用いますので損益計算書上では費用ですので営業利益率に影響を及ぼします。のれん償却は損益計算書で経費として計上されますが「のれん償却」という名目で実際にお金を支払っているわけではないのでキャッシュフロー計算書では利益にのれん償却を足し戻すことになります。

 GENDAという会社がM&Aで大攻勢をかけ、重視している指標がEBITDAであり、キャッシュフローなのですが、営業利益率が下がったことで株価が下がるという現象が起きています。EBITDAをみれば問題ないのですが、やはり投資家はそこを見ずに動いてしまったようです。

 減価償却は投資の回収ノルマですから、営業利益というものは当期の営業活動で稼いだキャッシュフロー(営業キャッシュフロー)と過去の固定資産投資のキャッシュフロー(投資キャッシュフロー)という性格の違うキャッシュフローが入り混じる概念です。営利企業は出資→投資→営業→配当というキャッシュフローのサイクルで成り立っています。営業利益はこのうち「投資」と「営業」を一括して把握しどれだけの配当余力を本業で稼ぎだしたかを表します。

 EBITDAは過去の投資を考慮する前の純粋に当期の事業で獲得したキャッシュフローを意味しています。キャッシュフローそのものというよりキャッシュフロー獲得能力といったほうが正確ですが、いずれにせよ、EBITDAが事業の収益性を理解するうえで重要な指標であることです。営業キャッシュフローは事業による実際のキャッシュの動きを表したもので、EBITDAは事業によって獲得が確定したキャッシュの権利を表したものです。その意味でEBITDAは営業キャッシュフローの本質的な部分を構成しています。