NVIDIAのJensen Huang氏は、ここ最近の変化を「情報から学ぶだけでなく、生成するようになったこと」と述べる。これを「トークン」と表現し、2023年に作成されたトークンの数が10兆件、2028年には100倍の1000兆件になると予想しています。AIの適用範囲はインターネットのような広がりになっています。AIは次の産業革命だといいます。エレクトロニクスの製造の時代があり、ソフトウェアの製造の時代になった。これからはインテリジェンスの製造の時代を迎えることになります。

 インテリジェンス製造のための素材はたくさんあります。すべての企業は土台にインテリジェンスがあります。だから基本的にすべての企業はインテリジェンスの製造者です。すべての企業がテックカンパニーに、AIカンパニーに、そしてインテリジェンス製造カンパニーになります。

 データを実用的な知識に変換するのがAIファクトリーです。NVIDIAはAIファンドリーになると表明しています。企業が求めるAIアプリの開発支援に注力し、AIアプリの開発に向けたハードとソフトを広く提供します。ハードについては競合するAMDがMI300を発表し、NVIDIAのH100を上回る性能や低消費電力をアピールしていますが、NVIDIAの優位性はソフトウェアにありAI革命に一日の長があります。

 AIが物理法則を理解始めたといいます。AIが物理法則を理解することでロボットの性能向上が進むことが予想されます。中でもヒューマノイドロボットに期待が寄せられています。NVIDIAは2024年3月18日の年次開発者会議で生成AIを搭載したヒューマノイドロボットの開発プラットフォームを発表しました。

 GPUは本来、Graphics Processing Unitの名の通り画像処理を行う装置を指します。もともとパソコンのグラフィックボードなどに使われていました、AIは膨大な演算処理能力を必要とする技術です。例えばディープラーニングは「ニューラルネットワーク」と呼ばれる人の神経細胞の仕組みに着想を得た計算モデルをベースにしている技術です。

 従来コンピュータの計算装置といえばCPUが主流でしたが現在はGPUが主に使われています。GPUはCPUほど複雑で多様な処理はできませんが並列処理を得意としており同じような計算を高速で繰り返すことができます。GPUのこうした処理性能が高速な並列処理を求められるディープラーニングに向いていることからAIの開発にGPUが用いられています。

 AI分野に関してGPUは画像処理以外の分野でも利用されています。行列計算には並列計算能力が高いGPUが向いているため画像処理に限らず言語処理や音声処理にも使われています。その計算能力を幅広く生かせるようになり、GPUは今後、たんぱく質や化学物質の構造、ロボットの動作など様々なものを生成するAIを動かす半導体になります。

 NVIDIAの2-4月期決算では粗利率が78.9%と驚異的です。前期の76.6%からさらに粗利率が伸びました。新製品Blackwellの発表により顧客の買い控えが生じ価格交渉力が落ちるかと予想されていましたがそれさえも乗り越えています。主要顧客であるハイパースケーラー(Google, Amazon, Microsoft)はAI半導体の内製化を発表していますが、DellとのAIファクトリー構想により顧客層を拡大し、NVIDIAの価格交渉力優位性は揺るがないと思われます。2025年も需要は供給を上回る見通しであることを発表しましたが、NVIDIAの経営能力の高さ・AI革命をリードする覚悟には脱帽するばかりです。