ケンタッキー・フライド・チキンやタコベルを擁するヤム!・ブランズの2024年度第一四半期の業績は減収、営業減益でした。売上高は前年同期比2.9%減の15億9800万ドル、営業利益は0.6%減の5億2000万ドルでした。特に低所得者層の外食控えが響いたとコメントしています。

 世界最大のコーヒーチェーンである米国のスターバックスが発表した第二四半期決算は既存店売上高が予想に反して減少しました。二大市場である米国と中国でのコーヒー需要低迷が響いたとコメントしています。既存店売上高の減少は約3年ぶりです。世界既存店売上高は4%減で市場予想は1.4%増でした。既存店売上高は競争が激化する中国で11%減、米国では客単価が4%上昇したにもかかわらず、3%減少しました。

 米国のインフレは根強く、抑制に向けて進展に欠けており、高金利の長期化は避けられそうにありません。昨年7月に政策金利を5.5%に上げましたが、ブレーキがかかりません。企業業績についてAI関連銘柄は好調でした。しかし、個人消費に支えられる銘柄については、業績好調とはいえず、個人消費の先行き不透明感を増しており、この先は要注意です。

 インフレが再加速するのであれば、今のところ、FRBのパウエル議長は否定的ですが、利上げも視野に入ってきます。米国経済の足元は堅調ですが、インフレ再加速で個人消費が冷え込んでくるようであれば、景気が停滞しているにも関わらず、物価が持続的に上昇するスタグフレーションに入ることになります。日本も同様に円安ドル高になると輸入する食糧や生活必需品価格が上昇するため、個人消費が停滞しているときに円安による物価上昇が起こるとスタグフレーションの状況となります。

 ドル円の為替も日米政策金利差5%超が続く限り、円安に歯止めがかからないでしょう。1ドル170円も時間の問題と言われています。為替介入による一時的な円高が起こっても日銀の利上げより、米国の政策金利の利下げ次第と言われていますので年内に為替が円高に転換するとは考えにくいです。

 円安は輸出企業にとっては追い風ですが、輸入コストを上昇させ個人消費が冷え込みます。日本は実質賃金のマイナスが続いていますので、持続的な賃金上昇と物価上昇の好循環となるかは怪しくなってきます。大企業だけでなく中小企業においても物価上昇を上回る賃金上昇が持続的でない限り、好循環が起こるとはいえないでしょう。構造的に稼ぐ力が欧米企業に比べて劣る日本企業は円安で増益となっているだけで業績好調とは言えないです。円安によって輸出企業の業績がかさ上げされ、結果的に輸出企業銘柄の多い日経平均株価が押し上げられているのが実態です。

 マクロ経済の動向、米国政策金利の動向次第という面があるにせよ、日本経済の根本的な課題は企業の稼ぐ力の向上、潜在成長率を上げることにあります。米国企業のように四半期業績に囚われることなく長期的な成長軌道に載せることを考えていかなければなりません。短期的な利益を追い求めるような商売の仕方を間違っていることに経営者が気づき、改善していかない限り、日本経済のぜい弱さは続くでしょう。