日本政府は、アメリカとフィリピンと連携して、携帯電話向けの先端無線ネットワーク技術「オープンRAN」の開発を進めています。オープンRANは、通信基地局のネットワークへの接続を開放するもので、日米の企業が中心となって開発を進めています。日本政府は、フィリピンでの事業に数十億円を支援する方針を固めており、11日に開かれる3か国の首脳会談で確認される見込みです。

 2022年6月29日には、フィリピン産官学の200名以上が参加するパネルディスカッションがオンラインで開催され、日本からは楽天モバイル、NTTドコモ、NEC及び富士通から代表者が参加しました。2024年2月26日には、NTTドコモがカタールのOoredoo Q.P.S.C.、フィリピンのSmart Communications, Inc.、シンガポールのStartHub Ltd.とオープンRANのフィールドトライアルの実施において合意したと発表しました。また、同日、楽天シンフォニーとフィリピンの通信事業者ナウ・テレコムが5G Open RANの試験運用に関する覚書を締結しました。

 無線アクセスネットワーク(RAN)は、モバイル通信ネットワークの一部を構成しており、ユーザー端末とコアネットワークをつなぐ役割を担っています。このRANについて、機器間のインターフェースを共通化(オープン化)したRANはOpen RANと定義されます。Open RANの導入により、モバイル通信ネットワークの基地局投資において、コスト削減を期待できることから、世界中の通信キャリアが、本格導入に向けてトライアルを開始しています。

 Open RANは新しい技術であり、導入期では、可能な限り多くの事業者を巻き込みアライアンスを形成して、仕様策定・製品サービスの開発等、商用化までに必要な取り組みを推進し続けることが普及のカギとなります。それにより、幅広いステークホルダーに新たな事業機会をもたらすことになります。民主主義陣営である日米比は、権威主義陣営である中国に対抗するためにも技術開発、品質面といった実利によって当該事業領域でどのように生かせるかを考えてグループ作りを進めていくことが重要です。

 フィリピンでアジア・オープンRAN・アカデミーを開設したのも、オープンな無線アクセスネットワーク(Open RAN)に関する知識と利用性を高めることは、グローバルな電気通信ネットワークのエコシステムを大きく作り変える可能性を秘めており、コストを下げ、ネットワークの安全性を向上させ、イノベーションを促進することにもつながります。アジア・オープンRAN・アカデミーは、インド太平洋地域内の政府、民間企業、市民社会によるパートナーシップであり、日本の総務省や富士通、NEC、NTTドコモや楽天シンフォニーも参加しています。あらゆる国の通信は、すべての国民にとって安全・安価で利用可能なものでなければなりません。米日比の連携は、オープンで透明性が高く、不随条件がなく、非抑圧的な非常に重要な通信支援を提供していくことになるでしょう。