平日の朝5:45-7:05にテレビ東京で放送されている「モーニング・サテライト」。1998年にスタートした経済ニュース番組です。ニューヨークと中継を結び、日本の夜中にアメリカ市場はどう動いたかを受けて、東京市場はどのように動くのか、仕事や投資戦略に役立つマーケット情報を各分野の専門家が、毎日、詳しく解説してくれます。ビジネスマンなら早起きして、毎朝、見るだけで相当な勉強になります。

 番組のキャッチコピーは「新しい時代に、新しい経済」。かつてないスピードで変化する「今の時代」を、独自の切り口でひも解いていきます。この番組のユニークなところは経済だけでなく、各界のスペシャリストがテーマをもって独自の切り口でビジネスに悩む人にヒントとなる情報が得られるような解説をしているところです。金曜日のモーニング・サテライト塾のコーナーでは、3/8(金)から世界で長らく負け続きだった日本のラグビーを変えた、日本代表のヘッドコーチであるエディー・ジョーンズ氏が自らの経験をもとにその哲学を開陳しています。

 今回の進行役を務めるテレビ東京のアナウンサーである中垣正太郎氏は、10歳からラグビーを始め、大学卒業まで続けていたそうです。ニュージーランドのカンタベリー大学に進学し、同大学を卒業後にテレビ東京に入社した経歴をもつアナウンサーですが、オールブラックスが試合前に行う儀式、部族の強さと結束力を表現する、ニュージーランド仕込みのハカを披露してくださり、場を和ませてくれました。

 1時限目の講義は「勝利に導くリーダーとは」というテーマでした。理想の姿と現実のギャップを認識し、ギャップをどのように埋めていくのかを考え、実行するのがリーダーの仕事だとエディー氏は考えています。そのためにチームのメンバーを再編し、戦い方を考え、練習のプログラムに落とし込む。プロジェクトではまず、どこに到達したいのか、ビジョンを立て、そこから逆算して計画を立てます。そして、3つの優先事項を決めて集中する。理想のチームにあったスキルや個性をもった人材を集めます。

 リーダーの仕事は、そのビジョンでチームを鼓舞し、勇気づけてあと一歩を進んでもらうようにすることだとエディー・ジョーンズ氏は言います。2015年のワールドカップに向けたチームのコンセプトは「ヘッドスタート」でした。他国より練習量を豊富にして、世界で有利になるためのコンセプト「ヘッドスタート」を作り、1日3回の練習(他国では2回)を行うなど行動が伴っている言葉をコンセプトにチーム内に浸透させました。

 勝利に導くには、プレッシャーの存在を認めることです。そして、そのプレッシャーに立ち向かう準備をします。過酷な練習は本番以上のプレッシャーに選手を置いて経験させました。2015年のイングランド大会では雨や高湿度の環境を予想してボールが滑りやすい状態にして(ボールに洗剤をつけたまま)、練習することで準備しました。

 リーダーが決断するプロセスとして重要なのは、情報収集して事実をしっかり把握すること。事実を把握したら、いろいろな人に相談をすること。いろいろな人に相談すればいろいろな考えが得られます。それらの考えを集約していくと解決に向けたヒントや直感が得られます。そして、決断します。決断したら、その決断を利害関係者に決断した理由を含めて売り込むことが重要で、協力を得ることです。

 勝利に導くリーダーとはどういうものなのか、エディー・ジョーンズ氏の話はわかりやすく、日本のビジネスマンにも適用できることは多いのではないかと思いました。今回、2027年に向けてヘッドコーチ再任されたエディー氏が「超速ラグビー」をコンセプトに世界4強に入ることを目標に日本代表のラグビーは動き出しましたが、どんなアクションを行っていくか、楽しみです。また、今回の勝利に導くリーダーシップを日本社会にしっかりと根付かすことで世界に後れを取った日本が再び世界に存在感を示すことができるのではないかと思いました。