私「ただいまー」
面接から帰った私は留守番をしていた上の子に声をかけた
上の子
「おかえりーどうだった?どうだった?」
私「はいはい、まずはお土産のアップルパイねー」
上の子
「わーい!アップルパイ!面接いい感じだったんでしょー?」
私「うーん、まあ、いい感じ?」
上の子がにこにこしながらアップルパイを受け取る
上の子
「嬉しい事とかあるとママはすぐ顔に出るよねー」
私「これは出してるんだよー」
ふふふとお互い笑う
お風呂に入ってから、紅茶とアップルパイを用意した
面接の話やどんな仕事かを上の子に話す
上の子
「ママがやってみたいならやればいいんだよ
我慢したり、パパの言う通りにしすぎててママ全然したい事やれてないじゃん
まぁ、普通に別れて欲しいけどね
あんなすぐキレるパパやばいから」
私「いいタイミングがあれば別れるよ
まずは下の子の高校卒業までは我慢してようかな」
上の子
「じゃあ私が大学四年生の時かー、まぁ私も就活中になるし別に構わないよ」
私「そう?計画通りにはなかなか行くか分かんないけどね」
いつかモラハラDV夫と別れたい
そのためにも、仕事で収入を得なければならない
ホテルからのメールがいつ届くのか、首を長くして待ちそうだ
翌日には流石に届かなかなった
1週間くらいは待たないといけないかなと2日後に考えていたら昼前にメールが届いた
ホテルからのメールは…
採用‼︎
採用‼︎
採用‼︎
頭の中をファンファーレが鳴り響く
良かった‼︎
採用された‼︎
やっと正社員になれる‼︎
1ヶ月で辞めたインストラクターバイトの採用通知から8ヶ月
やっとここまで来られた!
メールの文面を何回も読んで、その喜びを噛み締めていた
さて
採用メールが来たということは、返信をしなくてはならない
どんな返信をしたらいいのか
メールでの返信例をGoogle先生にきいた
お礼のメールかお断りのメール、他に検討している会社がある場合は、返事を期限付きで待ってもらうなどの例文が載っていた
文面はもちろんお礼メール
メールが来て翌日までには返すのが望ましいらしい
昼前に届いたから、夕方までには返事をしよう
まずは採用してくれたことへのお礼
その会社でどんな風に働きたいか簡単な文面でやる気をアピール
そしてまたお礼
そんな文面を丁寧に打ってから
返信した
電話もした方がいいかとも思ったけど、忙しいかもしれないから、メールのみにした
良かった
返信後、子供達は喜び、週末帰宅した夫は眉をピクピクさせながら
夫「辞めろって言っても無駄なんだろ?」
と、冷め切った言葉
私「仕事やってみないと、どうなるか分からないでしょう?」
と少し軸をずらした返事をしておいた
3月から夫が単身赴任から戻り毎日顔を合わせる事が苦痛だけど、4月からは夜勤の仕事中は帰宅しなくて済む事が救いだ
仕事に逃げている事にもなるけど、苦しい家族からは逃げ場を作ることは最善だと思う
本当に良かった
ほっとしたのも束の間、今のバイト先になんて話そう
こっそりダブルワークを続ける?
それとももうバイトは辞める?
いやいや、前のインストラクターバイトだってたった1ヶ月で辞めたから、ひょっとしたらこのホテルの仕事もすぐ辞めるかもしれない
そんな事も考えて、今のバイトに籍は残しておいてもらえないか上司に相談してみよう
ちょっとずるいかもしれないけど、これは生きる知恵のようなものだから大丈夫と、私の中の良心がギリギリOKを出してくれた
採用メールに返信した日は本当に久しぶりにぐっすり眠れた
不眠症でショートスリパーの私が眠れた
夢もみた
夢の中で蛍光イエローの蜘蛛を追い払う
逃げた蜘蛛は上の子の口に入る
なんとか吐き出させたら、小さく黒い蜘蛛になり死んでいた
蜘蛛は死んだ
夢の中でもほっとしていた
