平日午後
私は、完全週休2日制の求人情報をスマホで次々と見ていた
バイトを探していたあの時もこんな気持ちだった
少しでもこの家に居たくなかった
バイトをはじめた1年前から少しずつ私たち夫婦は壊れてきている
お互いが自分と家族を独自のルールで縛りつけた先に、不自由で歪な家族になっていったんだと思う
何かをするべきとか、普通ならこうだろとか、努力が足りないとか、理想と現実の間で子育てを中心にどんどん夫婦仲が悪くなった
子供をどう育てたらいいか分からない私に、子育ての責任は全て母親だからという夫の主張が大嫌いだった
俺は関係ないだろって幼稚園の運動会に行こうとしなかった夫も大嫌いだった
私の妹が離婚した時も、どうせ妹に原因があると言った事も忘れられない
長年降り積もった大嫌いの上に成り立っている今の生活が私は大嫌い
私は今の生活をのうのうと送っている私が大嫌い
だから時々死にたくなる
だから時々散財したくなる
あんなに節約と思っていたのに
稼ぐに勝る節約はなしと思ってバイトはじめたのに
結局は扶養内で働くお小遣い程度の仕事と夫は思っている
働かせてやってる
夫は、俺は妻の希望通り働かせてやる理解のある夫だと自分で思っている
私は、正社員の仕事でしっかり働きたい気持ちと、仕事を続けられるか自信がない気持ちとで揺れている
楽に生きたいなら夫の事に目をつぶって
耳を塞いで隠れて生きていけばいいのだろう
穴に潜らせた本当の自分自身を守って
ハリボテの自分を操って
やりたくもない家事をして
丁寧な暮らしといいながらパンを焼いたり
味噌を作ったり
おせち料理もほとんど手作りして
本当にやりたい事をやらずに妄想するだけの人生
今までも十分ハリボテを操ってきたからもうこの生き方が嫌になったんだよね私
本当にやりたい事を少しでも叶えられたら、少しは自分の人生がマシになる気がする
幸せになれるかは分からないけど、
今よりはマシ
死にたくなるのに死ねないのは
まだ自分の可能性が0ではないと分かってるからだと思う
本当は頑張りたい
頑張って生きていきたい
頑張りは辛い事もあるけど
何のために生きているのかがはっきりしているなら、頑張れると思う
いつも頑張りすぎてバテバテになる若い頃の私は、仕事も恋も頑張れば幸せになれると思っていた
恋は頑張れなかったから、好きになってくれる相手と結婚した
仕事は結婚して単身赴任による遠距離生活を何とかしたくて辞めてしまった
家族は一緒に居ないとダメだと思って辞めてしまった
楽に生きられるとかもという甘えもあった
仕事を辞めてからは家族との生き方が仕事になった
その仕事は家事や子育てで、外で働く仕事とは違い賃金は発生しないが人生の全てをかけて行わないといけない
ブラック企業以上にブラックだとも言える
外で働きながら子育てもした時期もあるけど、目が回るほど忙しかった
売り上げが上がらないとか仕事のストレスと、子供がカギを忘れて家に入れないみたいだと近所の方から職場に連絡がきたり、学校行事を忘れていたり、失敗したら私のせいだと夫に指摘され続けた
夫「ママちゃんが忙しくてかわいそう。
仕事辞めてもいいんだよ」
子育てに協力はせず辞めさせようとする夫
姑「その仕事はあなたが大学を出てまでしないと いけない仕事なの?
あなたでないとできない仕事なの?
代わりがいないような仕事ならする意味ある
けど」
悪気なく言っているとは思えないような事も、嫁には言えるのだろうと静かに絶望しながら話を聞いた日に辞めようと決めた
私の味方は誰もいないと思った
仕事も子育ても何もかもやめてしまいたかった
子育てを辞めるわけにはいかないから、辞められる仕事を辞めた
夫は恐ろしいほど喜んだ
ウキウキだった
私が仕事辞めたらそんなに嬉しいのか
夫「ママちゃんにはそんな仕事辞めたらって何回も言ったよね!良かった辞めてくれて、客商売なんて恥ずかしいからね」
言われると思った
接客業をバカにしないでよって何回言ってもダメだ
自分がしたくない仕事をしている人はバカだと思っている夫が大嫌い
4年前のあの時は仕事と家族の間で頑張れなかった
今は頑張っていないわけではないけど、頑張りの方向性が間違っている
我慢する事を頑張っている
我慢を頑張ってしたくない
