バレンタインドライブの夜、LINEでもケイくんはお礼のメッセージをくれた。
素直に嬉しい。
私「ホワイトデーが楽しみだなぁー」
ケイくん「頑張りまーす笑」
そんなやりとりもしたのに、ホワイトデーは何もなかった。
普通に残念。
以前一緒に行ったコストコに誘っても、お断りされてしまう。
忙しいと言われてしまうと何も言えない。
やっぱり、〇〇映画友達という位置付けでの関係では、プライベートに踏み込みすぎたのかも。
バイト先のおばさんで〇〇映画友達としての距離感ってどのくらいだとよかったのか分からなくなっている。
そのくらい一緒にいたかった。
ちゃんとお互いが傷つかない距離にいないと、またバカな事を言うかも。
バレンタインドライブの事を思い出しながら、コーヒー豆をゆっくりひく。
ゴロゴロゴロゴロと、コーヒー豆からいい香りが立ち上る。
スゥーと深呼吸しながら香りを吸い込み、大きなため息をついた。
寂しい。
心にポッカリと穴が空いたようだ。
Russell Hobbsのコーヒーメーカーが濃いめのコーヒーをドリップしているのを見つめる。
ぼーとしていたら洗濯機の終了アラーム。
一瞬にして現実に引き戻される。
こんな感じで、ケイくんと私の心もそれぞれの現実に引き戻されたのかも。
大学生と主婦。
バイト先でたまたま知り合っただけ。
21歳と46歳。
それぞれの人生の中で、たった数ヶ月交流しただけ。
それなのに、とても楽しくて嬉しくて幸せで、生きていて良かった。
ぽろぽろと涙が溢れて止まらない。
多分人類で1番ケイくんの事が好き。
私の遺伝子というか、本能というか魂からのシグナルのようなものを感じてしまった。
どうしようもないのに。
どうしようもない無力感をどうにかしたくて、温かいカフェオレをゆっくり飲んだ。
洗濯機の洗濯物は、もうしばらく放っておこう。