更科宙 14話目①
*ネタバレしていますので、ご注意ください*
このお話はとにかく・・・長いです![]()
どうぞお付き合い下さい(。-人-。)
Story 14
占い師 「私はひいおじい様の、昔の・・・昔の、知人です」
「あの・・・曽祖父とは、どういう知り合いだったんですか?」
占い師 「私がまだ子供の頃、あなたのひいおじい様に、いろいろ良くしていただいたの。あの方は、日中戦争の戦火を恐れてご家族と一緒に、このマカオに滞在なさってました。私はその頃、とても貧しくて、物乞いや、かっぱらいをやって、どうにかこうにか生活をしていたんですよ」
「マダムが?今のマダムからは想像もつきません」
占い師 「・・・今のような生活が出来るようになったのも、あなたのひいおじい様のおかげ、と言っていいでしょうね。ミスター、○○・・・あなたのひいおじい様と出会ったのも、私がミスターの懐を狙って、かっぱらいをしようとしたのがきっかけでした。ミスターは、少女の私を捕らえて警察に突き出すどころか『こんな少女が、気の毒に』と言って当時の私からしたら、驚くほどの大金を恵んでくれたの。それから、その時に持っていた、自分で作ったという、ステキな髪飾りを付けてくれた。お金を恵まれた事より何より、ボロボロの孤児だった私を、少女扱ってくれた事が、私には何より嬉しかった」
宙 「失礼、マダム。僕は日本の芸術大学の学生で、ミスター○○の研究をしている者です。ヒロ、とお呼びください。ミスターは一時期大変占いに傾倒した時期があると言われていますが・・・それはあなたとの出会いがきっかけだったのでしょうか?」
占い師 「そうですね・・・ミスターは私の占いにたいそう興味をお持ちになって、翌日から私の生徒になってしまったのです。私の先祖はポルトガルから移民して、ジプシーの流れを汲んでいます。水晶やタロットの使い方は、自然に教えられたものだったの。ちっぽけな物乞いの少女だった私が教えることを、ミスターはそれは熱心に聞いてくれました。そして『お月謝です』と言って、住まいと食べ物と教育を・・・人としてまともに生活するのに必要なすべを与えてくださったのです」
宙 「素敵なお話ですね」
占い師 「ええ、本当に感謝しています。ミスターと出会っていなければ、今の私は・・・存在していなかったでしょう」
「でも、マダム。曽祖父の援助は、ほんのきっかけですよね?マダムがご自分で努力して財を成された・・・それは、マダムご自身のお力でしょう?」
占い師 「・・・」
「失礼ですが、何か悩み事とか、お持ちなのでしょうか?」
占い師 「悩み事?」
「悲しい顔をしてらっしゃるから・・・」
占い師 「・・・そんな風に見えましたか?」
「はい」
宙 「僕にもそう見えます。失礼ですがマダム、『○○』という名の媚薬についてご存知だはありませんか?」
占い師 「・・・『○○』あの方と同じ名前ですね・・・」
宙 「そうです。『○○』は、今、このマカオやフィリピンなど東南アジアの歓楽街問題になっている、強力な媚薬の名前です。僕たちは、その媚薬について探るたまに、このマカオにやってきました」
占い師 「なぜ?その薬は、ニュースでも見て知っていますけれど・・・」
宙 「・・・僕は『怪盗ブラックフォックス』という義賊の一員です」
「宙!!」
占い師 「ブラックフォックス・・・聞いた事があります。あの方の作品を収集している怪盗団ですね」
宙 「はい。我々はミスター○○を尊敬し、その作品を心から愛しています」
占い師 「私に正体をバラしてしまっていいのですか?警察に通報するかもしれませんよ?」
宙 「あなたは、ミスター○○を心から敬愛しておられる。ですから、少なくとも我々に悪意は抱かないでくださる、と勝手に自負しています。それから・・・あなたも、あまり警察と係わりたくない世界に属している・・・そうではありませんか?」
占い師 「・・・なぜ、そう思うのですか?」
宙 「さぁ・・・カン、と言ってしまえばそれまでですが、そういう気がしたんです。媚薬『○○』は、あなたとミスターが二人で作り出したものじゃないか、って」
占い師 「私とミスターが?あの媚薬が流行りだしたのは、ここ3年ほどの事」
宙 「ミスターとマダムの間であの媚薬の原型・・・というか、原案?のようなレシピがあったとして、それを最近、形にしたのがマダム・・・いかがですか?」
占い師 「あなたの仮説の通りだとしたら、私は恐ろしい犯罪の関係者という事になるわね、ヒロ」
宙 「そうではないといいのですが」
占い師 「あなたの想像通りですよ、ブラックフォックスのヒロ。私が『悪魔の媚薬』と言われる『○○』の元締め。裏社会では『マザー』と呼ばれる女です」
「!!!!」