北大路悠月13話目①



*ネタバレしていますので、ご注意ください*



Story 13


悠月 「なに目え輝かせて見てんだよ」


「あ、あの、このリング、かわいいなって・・・」


記者 「あ!中園ユリカが会場入りしたぞ」


会場がバタバタと騒がしくなる。


悠月 「なんだそりゃ」


悠月さんがため息をつく。


悠月 「やっぱり女ってみんなダイヤとかほしいモンなの?」


「そりゃ憧れますよ、女ならきっと誰でも」


悠月 「ふーん」


「でも・・・重要なのは気持ちですよね。こんな希少で高価な物、私にはもったいないし・・・ユリカさんなら似合うだろうけど」


悠月 「それも微妙じゃねーの」


「それに好きな人から貰える物ならなんだって嬉しいな。気持ちがこもってて自分を想ってくれてる人からだったら、缶ジュースのプルタブでもいいです」


悠月 「欲のねー奴」


「大抵の女性はみんなそんな感じですよ」


悠月 「そんなことねーだろ」


(よかった、普通に話せてるよね?仲直りできたかな・・・)


どやどやと、会場が一気に騒がしくなる。


悠月 「兄貴の記者会見、終わったみてーだな」


皐月 「悠月!○○さんも」


悠月 「オツカレ」


皐月 「ああ。よかったら飯でも食いに行かないか?もちろん、○○さんも一緒に」


「はい、喜んで」


悠月 「マーシャはどこ行った?」


「あ、マーシャさんならあそこに・・・」


両手を目の前で組んでキラキラした目でピンクダイヤを眺めている。


マーシャさんを見て、兄弟2人が同時に噴出した。



皐月 「そう言えばマーシャ、ナターシャさんは元気?」


マーシャ 「元気よ~♪毎日バリバリ働いているわ。あ、ナターシャってうちのママ。源氏名ね」


「そう言えば、皐月さんってナターシャさんのお店の常連だったんですよね」


皐月 「ええ。あの時はよくマーシャに接客してもらってました」


マーシャ 「皐月ちゃんに指名されると優越感だったわ~」


悠月 「兄貴、なんでマーシャなんて指名してたんだよ」


皐月 「話が面白いからかな」


マーシャ 「えー、見た目チョイスじゃなかったのぉ?チョットーォ~!」


(・・・悠月さんも皐月さんも大爆笑してる・・・)


マーシャ 「いつもは女の子からのお誘いなんて優しくスルーしてるのに、○○ちゃんのことは自分から誘うって、どーいうこと~?」


(え!?私の話!?)


マーシャ 「皐月ちゃん、○○ちゃんのこと、お気になんじゃないの~?」


皐月 「マーシャ、酔ってるだろ」


マーシャ 「酔ってないってば!乙女は恋バナが好きなのよ!そう言うゆづちゃんはどうなのよ?」


悠月 「別にこんな地味なOL、趣味じゃねーから」


一瞬、胸がズキッとした。


悠月 「・・・電話だ。ああ、お前か。おー、来たきゃ来れば?今、広尾の、ああ、前ケーコ達と来たとこ」


マーシャ 「誰?」


悠月 「ユリカ」


マーシャ 「ええ~!?ユリカと同席なんてイヤなんですけどー」


悠月 「来たら俺、向こうに行くわ。邪魔しねーから安心しろよ」


その後ユリカさんが来ると、本当に悠月さんは別のソファに移動してしまった。


(悠月さん、ユリカさんと楽しそうだな・・・今まではずっと冷たい態度だったのに)


(今日は肩組んだりしてる・・・)


マーシャ 「なんであんな女なんか呼ぶのよ~。楽しい気分が台無しよね」


「・・・」


皐月 「そうそう、そういえば・・・○○さんに、ささやかだけどプレゼントがあるんですよ」


そう言って、皐月さんはベルベットの小さな箱を取り出した。


皐月 「開けてみてください」


(ネックレスだ・・・え!こ、これって・・・)


マーシャ 「ちょっと!これ、ピンクダイヤモンドじゃないの!しかもこのネックレス、プラチナ製だわ」


「あ、あのこんな高価な物、いただくわけには・・・」


皐月 「そんなに気にしないで。むしろ小ぶりで全然たいした物じゃないから、恐縮なんですけど。素敵なバーを教えてくれたお礼だと思ってもらえば」


マーシャ 「なによ、いいじゃない。もらっちゃえば?」


「でも・・・」


マーシャ 「私がつけてあげる♪」


マーシャさんが首につけてくれる。


マーシャ 「○○ちゃん、似合う似合う♪可愛い感じがぴったりよ」


皐月 「○○さん、どうぞ貰ってやってください」


「あの・・・じゃ、じゃあ・・・すみません、ありがとうございます」


(・・・ん?視線・・・?)


ふと悠月さんの方を見ると、目が合った。



悠月 「兄貴、俺、ユリカと麻布で飲み直すわ」


皐月 「そうか」


ユリカさんが勝ち誇ったような顔を私に向けて、2人はお店を出て行った。


皐月 「まったく、我が弟ながら素直じゃないな」


それから少しおしゃべりをしたあと、私は皐月さんに家まで送ってもらうことになった。