ロベルト王子14話目①
*ネタバレしていますので、ご注意下さい*
とうとうお城を出て行くことを決めた主人公・・・
いったいこれから、どうなるんだろ??
ロブたんも元気ないし、悲しいなぁ~![]()
ネタバレ注意![]()
翌日の朝。
私は荷物を手にそっと部屋を出た。
すると、少し歩いたところで、突然声が響いた。
「出て行かれるのですか」
荷物を落としそうになりながら振り向くと、アルベルトさんが無表情なまま立っている。
言葉を失う私に、アルベルトさんは言葉を続けた。
「今、報道陣はあなたのことをロベルト様の婚約者だとは思っておりません。ですから、お引取りいただいても危険なことは生じないと存じます」
どこか冷ややかな言い方に、なんとなく胸がざわつく。
「ただ・・・お帰りいただく前に、お掃除をお手伝いください」
「掃除・・・ですか?」
アルベルトさんは有無を言わさぬ様子で歩いていく。
私はそっと息を吐いて、アルベルトさんの後をついていった。
(ここって・・・)
「あの・・・アルベルトさん・・・?」
「ロベルト様の執務室でございます」
(あ・・・ロベルトの・・・?)
初めて足を踏み入れた彼の執務室は、散乱した書類のせいで雑然としていた。
それは、散らかっていると言うよりも、連日の激務の様子をうかがわせて、なんとなく胸が痛む。
「何度申し上げても、ロベルト様はここの掃除をなさいません」
アルベルトさんはそう言って私の顔を見る。
「しかし・・・片付けない訳にもまいりません。ですから、大変申し訳ありませんが、手伝っていただけると助かります」
「それは・・・かまいませんけど・・・」
(でも、私が勝手に触ったりしていいのかな)
そう思いながらも、私はアルベルトさんに促されるように、片付けを始めた。
机の上の書類をまとめていると、書類の下から1冊の本が出てくる。
それは、前に王子が読み聞かせをしてくれた絵本だった。
(これって・・・あのときの・・・)
絵本の中の王子様という言葉はロベルトに、お姫様という言葉は私の名前に書き換えられている。
(でも・・・この絵本のように、私たちが結ばれることはないんだ・・・)
・・・胸が苦しくなっていく。
そのとき、アルベルトさんの声が聞こえてきた。
「ロベルト様は、毎日その絵本をかたわらに仕事に励んでおられました」
顔を上げると、すぐ近くにアルベルトさんが立っている。
「その絵本は、早くに亡くなられた王妃様の思い出として、ロベルト様が大事になさっていたものです。ですが・・・いつの間にか、○○様との思い出になっていたのですね」
そう言ってアルベルトさんは私に笑顔を向けた。
(アルベルトさんのこんな顔・・・初めて見た・・・)
すると、アルベルトさんはハッとしたように視線を落として、そのまま片づけに戻った。
アルベルトさんのつぶやくような声が聞こえてくる。
「私がロベルト様にとってただの幼なじみなら・・・そして、ロベルト様はアルタリアの一国民なら・・・彼の想いを応援することができる。でも・・・ロベルト様はアルタリアの次期国王で、私は彼の執事・・・その肩書きはどうやっても変えられない。でうから、出て行くあなたを引き止めることもできないですし、あなたが出て行ったことをロベルト様に伝えることも・・・私はいたしません」
その声がかすかに震えたような気がした。
「・・・憎く思われても仕方ない立場だと自覚しております・・・私にもっと力があれば・・・」
彼は深々と頭を下げた。
「・・・どうぞお許しください」
「そんなこと・・・そんなこと思ってません・・・」
私の言葉にアルベルトさんは、わずかに目を細めた。
「片づけを手伝ってくださってありがとうございました。ロベルト様が起きたら、またややこしくなります。・・・その前に帰るべき場所へ・・・」
「今まで・・・ありがとうございました」
「いえ・・・私の方こそ。・・・どうぞお元気で」
アルベルトさん、優しい・・・![]()