韓国の朴槿恵政権が中国にすり寄り日本に対する「告げ口」外交をみて、一体韓国はどうなったのだろうかという疑問を抱く日本人は多いと思いますが、本書はその疑問に一定の答えを与えるものとなっています。

実は韓国が中国になびくようになったのは1990年代の韓国と中国の国交回復からで徐々に水面下では始まっていたのですが、それが顕在化したのが現在の朴槿恵政権だと主張されています。

荒木さんは韓国が中国になびくようになったのは、経済的要因と北朝鮮を巡る安全保障の問題だと書かれています。

貿易がGDPに占める割合が異常に高い韓国が中国市場に色目を使うのはある程度私にも納得できます。

しかし、中国は韓国のために北朝鮮に対して安全保障面で何かしてくれたことはあったのでしょうか。

この本のどこを読んでも中国が韓国のために北朝鮮に対して何かをやったということは記されていません。ところが「『一つの中国』のために韓国は台湾と断行したが、中国は北朝鮮との関係を維持したままである」と書かれているように、どう考えても韓国の持ち出しが多いのです。

結局その差額部分を韓国は中国と一緒になって日本を批判することで埋め合わせている気が私にはしてなりません。

著者は、韓国の「反日」の言動について日本人に与える影響を次のように指摘しています。

「ようやく日本人が語り始めた本音を、大多数の韓国人は理解できないだろう。自分たちの言っていることを日本人がどう受け止めているかについての思慮は、彼らには元々ない。意識が変わり始めた日本を見て、『日本は右傾化している』と納得するのだろう。
理不尽な対日批判に数十年耐えてきた日本人の国民感情は、修復不可能なのではないか。もう日韓友好などとは、建前であっても口にしたくないのではないか」

この本の中では色々な文献から日本が朝鮮半島を併合している時に朝鮮人の日本に対する不満がどこにあったのかを探っています。それを読んでも現在の日韓の対立が遥かに深刻なものになっており、ポイント・オブ・ノー・リターンに至ったのではないかという荒木さんの結論に異論の余地は私にはありません。