親として残酷な事を思った。
同じ役のライバルということだけでも気を使うのに、台詞の練習をすると更に生まれ持った何かを感じてしまう。
同じ環境で、同じ人間から生まれたけど、やっぱり違うのだなと。
「みんないつも僕のことを忘れちゃうんだ」という台詞がある。
家で練習すると、長女は大きな声で単調に言う。感情を込めてと教えるが、「よくわからないんだよな」という。
初めて次女に言わせてみる。下がり眉で、私の考えている以上の表現力を言う。
長女は、何でもそこそこ出来る真面目な子だが、冒険ができない。
次女は、何をやっても鈍臭いが(勉強は全然ダメ)、入り込み方が凄いと思う時が多々ある。
思わず次女に「すごいね。どうやってこの台詞を言ったの?」と聞いてみると「えー??わかんない。なんとなくだよ」と言う。
感覚派って怖いな…。お姉ちゃんに出来るかと言われたら理論がないから難しいだろう…。
もともと下の子は、何をやっても他の子より出来なかったが、歌や物語の入り込み方が凄くて、ミュージカルスクールに入れてみた経緯があった。
もちろん長女にも良いところはある。先生から指摘された所は、メモを取り、自分なりに少しずつ改善している。それでも、すぐ出来てしまう次女に長女が苛立っているのはわかる。
今まで何ひとつ自分より下だった妹が演技力と歌に関しては上手いというのは勘の良い長女なら気がついているような気がする。
下の子より上の子に目を向けてあげなければ、荒れるよな…。親としては、どうやってこの子たちの練習に寄り添えるかを考えてしまっている。