中学の時のはなし。


まあまあ、可愛くてリーダー格のヤンキーがいた。中学生にありがちな順番で仲間内で虐める事を繰り返していた。噂によると飲み屋の娘らしく、家庭の寂しさからのヤンキーだった。


正直、私の住んでいる中学の地域ではありがちな設定で、昔は風俗や飲み屋の子供たちも多かった。


さて、その子は中学3年生の最後の最後に不良仲間からハブられた。「結局あいつが悪い」となったようである。


あと、受験も近くなってくるので、みんな真面目に勉強しだして、ヤンキーを抜ける子もいたしね。


そのヤンキーは、保健室に行くようになった。虐められていた子が行く逃げ場の保健室が、その子の城となった。


保健室にはなんでも書いて良いノートがあり、彼女はそこに何でも書いていた。


寝た男の名前を書いて「愛している」だの「またやろうね」など書いていた。昔はSNSなどなかったから、ノートだけでその子は幸いだったと思う。


中学の同級生たちは「あいつはヤリマン」と噂をしていた事を彼女は知っていたのだろうか。


私は子供ながらに「アホだなー」と思ってしまった。当時は、自慢なのかな?と思っていたが、結局寂しくて男と寝る事しか寂しさを埋められなかったのだろう。


ある日、理科の授業中にヤンキー仲間の男が「お前、ハブられてんなー。やってくれる男しか相手しなくね?」と言ったら、泣き出した。泣く子だと思ってなかったので、みんなシーンとなった。


初めて可哀想だと思った。もしかしたら、彼女は寂しかっただけなのかも。虐めの加害者なので、全てが同情は出来なかったけど。


「女の子は、特に親から沢山愛されないと不幸になっちゃうのよ」と私の母が言う。


愛されていると言うのが自信になり、特に変な男に引っかかりにくくなるようだ。私も娘2人を育てているが、この言葉を胸に子育てしている。


寝る前に「大好きだよ」と言って抱きしめているが、私がアホでも今を普通に生きているのは、両親の愛情があったからなのだと今は思う。