娘のミュージカルレッスンの見学の時に、トップのお子さんのお母さんと隣同士になった。


少し世間話をして、私がずっと思ってた事を打ち明けた。


「正直、この教室で1番上手だと私は思ってます。才能もありますし、家での練習も相当努力してるんだなぁって見ていてわかります」


そのお母さんは首を振りながら笑っていた。


「才能なんてないよ。始めた頃は音痴すぎて、マイク貰っても歌わないでって言われたくらいだよ。それからは、家で必死で練習はしてる。泣きながら練習してるんだよ。追いつかれちゃうかもしれないって。子供ながらに抜かれるのが怖いんでしょうね」


衝撃だった。こんなに上手な子でも追いつかれる不安で泣くのか…。


トップにはトップの重圧があるのだなと感じた。生徒の中には「あの子は特別」という子もいたが、圧倒的な練習量なんだろう。


長女にこの話をすると「信じられない」と驚いていた。それと同時に「そしたら、私はどれだけ練習したら、やっと同じくらいになれるんだろう」と複雑そうだった。


私たち親子はとんでもない習い事に足を踏み入れてしまったようだ。