ミュージカルレッスンの帰りに珍しく、先生の旦那さんから話しかけられた。
夫婦で経営している教室は、旦那さんが脚本や音楽、経理などを担当している。
「先日のオーディション見たんですけど、かなり娘さん練習されたんじゃないですか?」と言われたのだ。無口な旦那さんなので話しかけられたことに驚いた。
「はい、家で毎日練習しましたね。本人も今回はマイクのある役を取りたいって言ってましたし」
「でしょうね…、驚いてしまって。昨年まではおとなしい子という印象で」
でしょうねってか目立つ方じゃないのは親も本人も自覚している。
すると、先生も話しかけてきた。
「正直、1番驚いた生徒でした」と。
先生には「上手いお友達を見て頑張ろうと思ったんだと思います」と話しておいた。
実際に娘と同じ学年は、エースが何人もいる。高学年の子より、上手い子が多いのだ。その年代に集中していると言ってもいい。娘は大変だと思うが、同時に強い子が多いというのは、その子たちに引っ張られるということだと思う。長女は、なんだかんだで負けず嫌いだ。
50人以上生徒がいる中で、台詞がある役は17人。狭き門だが、爪痕は残せたとホッとした。
長女に「先生がよく練習してるって褒めたよ」と話したら、「一言台詞がある役でも選ばれたいなぁ」と言っていた。娘にとって、とても良い人生経験だなと思った。