長女は、察しがいい。大人の顔色を見る能力は、生まれ持った才能すら感じる。
幼稚園の時は、問題があった先生は近づこうとしなかった。誰が教えたわけでもないのに本能的に「この人は危ない」と知っていた。
友達関係も同様で、少し危険な兆候がある子は、関わる事を一切しなかった。前に同じアパートだった娘の同級生が首を絞められて問題になった事がある。その事を聞いた時、思わず娘に「その友達から変な事されてない?」と聞いたら、淡々と「私は近づかないから大丈夫」と言われた。防衛本能が凄い。
さて、昨日嵐のようにおばさんが来た。「子供たちにクリスマスプレゼントを渡したかった」らしい。
まあ、ええねんけど。いつも突然やな
次女は、ニコニコおばさんに「うれしい!!ありがとう😊」と言って話しかけている。しかし、長女は目を合わそうともしない。
少しヒヤヒヤした。思わず「もっと愛想良くしなさい」と小声で言った。
すると「いや」と言われた。クリスマスプレゼントの感謝は伝えたが、その後は無視。決して心を開かないという意思を感じた。
ただ長女の警戒心は、ドンピシャで当たっている。ここだけの話、おばさんはマルチ商法というか詐欺師なのだ。
「身体が治る水」「身体の毒素をぬく布団」など怪しさ満載の商品を売っている。何度か売られそうになったが、必死で回避した。もちろんこの話を子供の前でしたことはない。
おばさんはお金はあるが、それはどんなお金なのか怖くて聞けないところもある。
さて、それとは正反対の次女。この世の全てが自分の事を優しくしてくれる人と思っている。おばさんに話しかけたり、ダンスしたりしていた。
すると、おばさんは、小さい子供の会話をするのが疲れたようで「せからしかね」と言った。佐賀弁で「せからしい」とは、「めんどくさい」という意味である。
おばさんの化けの皮が一瞬剥がれたのを長女は見逃さなかった。「みさき、おいで。向こうであそぶよ」と言って子供部屋へ行った。
旦那が帰ってきて、思わず「長女は、本当に察しが良い。しっかりしてると思う。愛想は悪いけど、長女の行動に精神的に助けられることもある」と言った。
すると、旦那が「神様ってのはいるのかもな。頼りない母親には、しっかりした娘を授けてくれるんだろう。まあ、俺の血が強いのもあるけど」と笑っていた。