久しぶりにTSUTAYAへ行った。ふらふらと本棚を見てみると「向田邦子、没後40年」とある。
私が生まれる2年前に亡くなった放送作家&エッセイリストだ。高校生の頃、彼女の執筆した「父の詫び状」を読んだ。晩年の向田邦子しか見たことなかったので、なかなかの美人で驚いた。どちらかというと化粧気のないサバサバしたおばさんと言ったイメージだったから。
はて??この人確か生涯独身で、恋愛のイメージがないんだが??しかも、めちゃくちゃ薄い。すぐ読める量。よし、コレにしよう。
買ってから気がついたんだが、このエッセイは向田邦子が書いたのではなく、妹の向田和子さんが著者だった。飛行機事故で亡くなってから、向田邦子の遺品の整理で初めて姉の恋人の存在を知ったらしい。
第一部は、向田邦子と恋人の手紙のやりとり。「愛してるよ」と言う文字は一切なく、お互いの近況、仕事の話、何気ない日常が手紙に書かれている。まさか、向田邦子もこの内容が死後、本に書かれるとは思わなかっただろう。正直、読みながらここまでは、「ちょっとハズレだったかな」と思っていた。
第二部は、妹の和子さんの視点で書かれた向田邦子の恋だ。突然の姉の死から10年の時を経ての内容だ。秘めた恋には、何かあると思ったが、衝撃的な内容が書かれていて、今流行りの伏線の回収のようで、手紙の内容も写真も全然別の視点で見えてくる。後半は、ずっと泣きながら読んでいた。
ひさびさに大当たりの本を買ったと思った。泣きながら、今日の晩御飯を作る。恋人とのやりとりで「寒い日は、おでんを食べる」と書いてあったので今夜はおでん🍢だ。私はすぐ影響されるな。