お通夜の時に少し困惑した事があった。姪っ子2人が目の前で喪服を着替え出した。


旦那や私がいる前でパンツひとつになっている。2人とも24歳と19歳。びっくりした。年頃になって父親の前でパンツひとつになるなんて考えられない。しかも、おじさんもいるのに…。


何より、ものすごく太っている。申し訳ないが、肥満だ。髪の毛もボサボサで、スッピン。メイクは一切しない。とても若い子には見えない。


旦那も「恥じらいはどこにある、女らしさはどこにあるんだ」と嘆いていた。


私も「こういう時に多少、メイクするのは基本やけどな」と思った。24歳なら他の同級生たちは毎日メイクをして働いている。それを知らない…。どうなってんだ…。


実は、最近まで姪っ子は外にも出ず引きこもっていたそうだ。大学は休学中だ。本人は大学は、やめる事にしたという。


良い大学に推薦で合格した姪っ子。しかし、興味ある学部でもなく、周りの学力レベルとの差があった。人間関係で悩むというより(そもそも大学は、友人がいなくてもなんとかなる)、それなりに優秀だったのでプライドをズタズタにされたのだろう。



「大学よりバイトが楽しいんです。そっちでいいかなって思って」と話したので、申し訳ないが否定させてもらった。


「バイトと正社員じゃ違うよ」


追い詰めてしまうかもしれないと思ったが、本当に心配なので本音が出た。


更に「お婆ちゃんも死んだので、爺ちゃんの家に行って住もうと思います」と衝撃的な事を言ってきた。


ちなみに姪っ子の父親は定年退職で山奥にある実家に引っ越す予定だそうだ。姪っ子たちは、家を借りるお金もないので、爺さんと住むという。


正直、これを聞いた時、本当に嬉しかった。助かったと思った。84歳の義父の一人暮らしは、やはり心配だし、家に誰かいるのは助かる。定期的に私が生存確認に行っていたが、嫌いな義父の家に行くのは面倒だった。


しかし、引きこもり気味のフリーターの孫と問題ばかり起こすあの爺さんが住むのか…。少々、心配だけど、まあ私には関係ない。


モーさんは「孫だから親父と生活できるやろ。俺は息子でも無理だけど、助かった」と私と同様に喜んでいた。



モーさんは言う。親父のようにきちんと会社勤めもまともにしてない大人はろくなもんじゃないと。義父はフリーターに近かった。


確かに職場が1番社会を学ぶ所だ。働いている人と学生じゃ顔つきが違う。一気に大人の顔になる。お金を稼ぐ厳しさ、仕事への責任感。


それを知らず、フリーターのまま生きていこうとしている姪っ子。正直、安易だし、義父の道を辿らないか心配だ。出会う人もフリーターと会社勤めでは、全然違う。自分より凄いと思える人たちの出会いが圧倒的に増えるのにもったいない。


このまま井の中の蛙として姪っ子は生きていくんだろうか。若いのでまだやり直しはきくから、「また立ち上がってくれないかな」と思う。


しかし、私は冷たいので余計なことは言わない。彼女も大人だしそれが彼女が選択した人生だ。


私たち夫婦は、今回の葬儀で改めて「義父との距離をとりましょう」と確認した。それが私たちの選択。結局、義父や姪っ子家族と私たちでは価値観がどうしても違うのだと今回の葬儀で強く思ったことだった。