早朝の駅のホーム

静まり返る闇がいつの間にか

薄水色の空が

明るんでいくのを


春だなぁ

って眺めていたら

定刻の列車(あいつ)が

静寂を切裂いて現れる


あっ…マフラーを忘れた

暖かかったから「ま、いいか」と

思いながらあいつの横っ腹の

あけるのボタンを押す



吹雪いてもいないのに

手動になってるなんて

珍しいこともある

そこに何かしらの理由を探してみる

けど何も当てはまらなそう



いつもの車内に彼がいない

昨日も…


もしかしたら

電車が安定的に運行したから

一本遅らせたのかも



なんて事をおもったら

春だね




君はこんなこと言うと笑うだろうな

おいおい、ソコかよって…




君が生きている世界に

私も生きてる奇跡に…



君がなくした色を探して

私は絵筆で空を描く…



だから君を求めていて

ないものも君に求めていて

ああ、そういうことかと

知るほどに



かけらを集めていくのか

君も私も…


パズルのピースのようであり

破り捨てた写真のようであり

割ってしまったグラスのようでもある


もう壊したくないよ

何も…

茶化すのは照れ隠しかな

いや、ネタバレは厳禁


あいつの見せる世界なんて

一ミリだって信じちゃだめだ!

謎は謎のままでいい

君が君のままでいいように…