パリの美しい街並みと云えば、セーヌ川と橋、石造りの建築とマロニエの街路樹。
1853年~1870年頃、パリの古い街を整備したのは、当時の知事オスマンさんです。
 
それまでのパリの街は迷路のような路地が続き、非衛生的であったためコレラが街を何度も襲いました。
知事は、道路を広場から放射状に伸びる石畳みのの街並みに変え、上下水道を整備しパリを近代的な街に作り上げます。
 
さらに時が進むと、パリの電線は地下化され、地下鉄やセーヌ川の水運は地上の渋滞を回避させ、都市として優れた基盤を備えるようになりました。
 
以上の事柄は、パリに来た頃マダムSによく教えてもらったことです。
 
 
19世紀と云えば、産業が発達し鋼鉄やガラスの新建築材料が現れた頃です。
あのエッフェル塔も鉄でできていますし、電気がない時代のエレベーターは、セーヌ川の水を利用したパスカルの水力式エレベーターでした。
 
また、当時の新しい芸術運動=アール・ヌーボーは、植物の花やツル、昆虫などの自然をモチーフに絵画や工芸だけでなく建築にも影響を与えました。
(学生時代の教科書の写真が、時を遡り近所にあるのは、とても不思議です)
 
パリの中でも16区は、閑静な住宅地として知られており、美しい街並みが保存されています。
普段の生活の中で見つけた建物を徒歩10分毎にご紹介します。
 
では、スタート!
 
◇パリの西の端ブローニュの森の目の前のOECD 経済協力機構の建物。
住所:2 Rue André Pascal, 75016 Paris
(入口反対のラヌラグ公園から撮影)
 
ルイ15世の公妾ポンパドール夫人の城だったと言われていますが、正面にギリシャ円柱が美しく見えますのでナポレオン時代の新古典主義の建築のようです。
 
 
その周辺のアパルトマンの外観装飾には、バロック調や優雅な曲線のロココ調が見られます。
 
薔薇とリボンの彫刻レリーフ
 
 
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◇ラヌラグ公園をはさみ、パリの空に映える近代様式の二棟建の高級アパルトマン。
曲線円柱形が直線で表現され雨戸もシャッターに替りスッキリした意匠で近代的です。
 
 
 

 Jardin du Ranelaghラヌラグ公園の木立を通り抜けましょう。

 

 
◇マルモッタン・モネ美術館。
住所:2 Rue Louis Boilly, 75016 Paris
1840年代に公爵の「狩猟の館」をマルモッタン氏が購入し改造したもの。
外観は品のあるレリーフです。
 
 
内部は、クロード・モネの作品とロココ様式と新古典主義様式が重なるインテリアが素敵な所です。
 
 
通りをAvenue RaphaëlからRue du Dr Blancheに抜けます。
 
 
◇途中の Boulevard de Beauséjourのアパルトマン。
バロック様式の豪華な外観。
 
 
 
 
 
通りの向かいには背の高い木立が生い茂り、パリの四季の香りがするとても気持ちの良い場所。この建物の前を通り料理の教室に通っていました。
 

 
 
 
 
◇ル・コルビジェのホッシェの家
Villa La Roche  ・Maison La Roche
住所:10 Square du Dr Blanche, 75016 Paris
入場料8€  
月13:30〜18:00 火〜土10:30〜18:00
(今は夏休み中)
 
 
 
! 入口が見つけにくいです。
この写真↓の門を入り中に進んでください。
 
 
 
 
 
 
Rue RaffetからRue Jean de la Fontaineを10分程歩きます。
 
 
 
 
◇Le Studio Building 
住所:65 Rue Jean de la Fontaine, 75016 Paris
スタジオ・ビルディングは、1926-1928年頃にHenri Sauvageによって設計されたアール・デコの二棟スタイルの豪華アパルトマン。
壁の砂岩、多色の通りの側面とタイル張りでモダンなスタイルです。
歴史記念碑に登録されています。
 
 
 
 
 
通りをそのまま進みます。
 
 
◇メザラ邸 Hotel Mezzara
住所:60 Rue Jean de la Fontaine, 75016 Paris
1910年建築の個人邸。
フランスを代表するアール・ヌーヴォーの建築家、エクトール・ギマールの作品。
太った様な柱から植物のツルが伸びる様な装飾。
換気口のカバーまで一つ一つデザインが異なります。
現在は学校管理下の物件。
 
写真を撮っていたら、近所のマダムに暑いのに何してるの?と声をかけられました。
この近辺はアールヌーボー建築が集まっていますので、パリの良き時代ベルエポックに、タイムスリップしたかの様です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
通りを少し入ります。
 
 

◇アールヌーボー
エクトール・ギマールのアトリエ兼自宅
122 Avenue Mozart, 75016 Paris
フランスを代表するアール・ヌーヴォーの建築家の家
1909年に作られたもので、1964年には歴史的建造物に認定されました。
 
 
 
 
 
 
 
ひと休み
◇Apprentis d'Auteuil
 40 Rue Jean de la Fontaine, 75016 Paris
公園脇に、慈善団体と修道院があります。
バラ窓のある教会は新しいですがゴシック様式。
修道院は18世紀のロマネスク様式ぽい建築です。
 
 
 
 
ステンドガラスがとてもきれいな教会でした。
 
 
 
 

 
◇アールヌーボー
Hector Guimardのアパルトマン
住所:21 Rue Jean de la Fontaine, 75016 Paris
一階に不動産屋さんが入っているのでわかりやすいです。
そのお隣や周辺も同じくフランスを代表するアール・ヌーヴォーの建築家、エクトール・ギマールによるアパルトマンです。
 
 
 
 
 
 
 
ギマールのサインRue Agar
 
 
Hector Guimard 建築のサイン
 
隣のアパルトマンの一階は、ネイル店や美容院、カフェで現役営業中。看板までアール ヌーボーデザインです。
 
 
 

ここのカフェは美味しいですし内装も素敵ですよ。

 

 
 
この道路周辺には火・金曜日にマルシェMarché Gros-la-Fontaineが朝から昼過ぎnihonnhaあで立ちます。地域柄16区の品のあるマダム達がお買い物にいらっしゃいます。
 
 
◇ギマールのカステル・ベランジェ
14 Rue Jean de la Fontaine, 75016 Paris
 
1895年〜1898年に建築家ヘクトル・ギマールによって建てられました。
様々な装飾と多色で建設当時は、錯乱する建物と云われていたらしいのですが、1898年 第一回パリ外観賞で表彰され一躍アールヌーボー建築を代表する建物になりました。
必見です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
交差点を右方向に見るとラジオフランスの現代的な社屋。その向こうには15区のビル群が見えます。
 
 
ラジオフランスの白樺の小道を進むと向かいにもアールヌーボー建築が見つけられます。
 
 
 
 
 

Rue Jean de la Fontaineをそのまま進むとpassy方面へ。
16区のクラシカルな建物が続きます。
 
 
 
 
 
 
 

通りを左に折れるとPassy のブッテック街が近づきます。
 
◇Maison art nouveau 
アールヌーボーの家
2 Rue Eugène Manuel, 75116 Paris
 
色彩つきのアーティチョークのタイルで装飾されたアールヌーボー建築。
フランスの人々もツアーで訪れる史跡です.
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
200年前から100年前の建築と共存し街並みを愛するパリの人々。
 
お散歩の全行程は8km程、道に慣れている私で3時間程です。
 
治安の良い16区ですが、安全に気をつけて建築散歩をお楽しみください。