この空を見上げてから一ヶ月が経った。
闘病生活も、お葬式も遠い遠い昔のような気がするけど、まだ一ヶ月なんだな、という思い。

父の死亡後の手続きは色々進んでるけど、やっぱり実感はない。

夢にも出てこず、亡くなってから姿を見せてくれたのは、あの死装束の姿でニカッて笑ってた姿くらい。

私は父の最期の言葉を、思い出そうとした。
吐血から、挿管して、さらに気管切開だったから。言葉でっていうのは吐血の前日、輸血をしてる時だったと思う。

「緋桜、悪いな」

会社の書類の手続きを進める私に言った言葉。
思えばそれが声を出して交わした最後の言葉だ。

ありがとう、って言うのが苦手だった父らしい言い方。

もうすぐ満中陰法要。
お父さん、今どこにいるの?