1.
北国の春は遅い
今年は雪が少なく春は早く感じる
しかし、気はまだ肌寒い

a. ポット苗の種おろし
唐辛子
茄子
バジル

b. 雪囲い外し
ハスカップの剪定、雪の来る前に必要


2.
松蔭の「留魂録」を徒然に眺めていた此の頃
比較的、知られているらしい第八節


今日死を決するの安心は四時の順環にい於いて得る所あり

蓋し彼の禾稼を見るに、春種し、夏苗し、秋刈り、冬蔵す
秋冬に至れば人皆其の歳功の成るを悦び、酒を造り、醴を為り、村野歓謦あり
未だ曾て西成に臨んで歳功の終るを哀しむものを聞かず
吾れ行年三十、一事成ることなくして死して禾稼の未だ秀でず實らざるに似たれば惜しむべきに似たり
然れども義卿の身を以て云えば、是れ亦 秀實の時なり、何ぞ必ずしも哀しまん
何となれば人壽は定まりなし
禾稼の必ず四時を経る如きに非ず
十歳にして死する者は十歳中自ら四時あり
二十は自ら二十の四時あり
三十は自ら三十の四時あり
五十、百は自ら五十、百の四時あり
十歳を以て短しとするは蟪古をして霊椿たらしめんと欲するなり
百歳を以て長しとするは霊椿をして蟪古たらしめんと欲するなり

斉しく命に達せずとす
義卿三十、四時巳に備はる
亦秀で亦実る、その秕たるとその粟たると吾が知る所に非ず
もし同志の士その微衷を憐み継紹の人あらば、乃ち
後来の種子 未だ絶えず、自ら禾稼の有年に恥ぢざるなり
同志其れ是れを考思せよ


「禾稼」に人の在りようを擬えている
喩えは美しくとも 松蔭の無念の偲ばれる
自然の理をもって 綴られる”ことば”に万感が滲む

身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂
に始まる「留魂録」
以下、辞世の句に終える


かきつけ終りて後

心なることの種々かき置きぬ思いのこせることなかりけり

呼びだしの声まつ外に今の世に待つべき事のなかりけるかな

討たれたる吾れをあはれと見ん人は君を崇めて夷払へよ

愚かなる吾れをも友とめづ人はわがとも友とめでよ人々

七たびも生きかへりつつ夷をぞ攘はんこころ吾れ忘れめや

十月二十六日黄昏 書す
二十一回猛士


>付記
字は義卿、号は松陰の他、二十一回猛士
旧暦安政6年10月27日 (1859年11月21日)没