黄連 2015-0527
テーマ:生薬之

1.
黄連 おうれん

a. 生薬
別名 丹波黄連, 越前黄連, 因州黄連, 味連, 雅連
ラテン名 Coptidis Rhizoma
英名 Coptis Rhizome
科名 キンポウゲ科 Ranunculaceae
基原 オウレン
Coptis japonica Makino,
Coptis chinensis Franchet,
Coptis deltoidea C.Y. Cheng et Hsiao
又は Coptis teeta Wallich


b. 薬用部位
根茎を乾燥したもの

c. 含有方剤
 安産湯 胃苓湯 茵陳散 温清飲 黄解散 黄連湯
 黄連阿膠湯 黄連解毒湯[外台] 黄連解毒湯[回春] 黄連消毒飲 加減涼膈散 葛根黄連黄芩湯
 葛根紅花湯 加味犀角地黄湯 加味四物湯 加味小陥胸湯 陥胸湯 乾姜黄連黄芩人参湯
 甘草瀉心湯 甘連湯 甘連大黄湯 甘連大黄加石膏湯 荊芥連翹湯[一貫堂] 荊芥連翹湯[回春]
 行和芍薬湯 柴陥湯 柴胡清肝散 三黄瀉心湯 三黄瀉心湯(振り出し) 滋腎明目湯(腎気明目湯)
 瀉胃湯 芍薬湯 順気和中湯 小陥胸湯 正観湯 生姜瀉心湯
 小柴胡湯加黄連茯苓 椒梅瀉心湯 消痞湯 腎気明目湯 参連湯 清胃瀉火湯
 清咽利膈湯 正観湯 清上防風湯 生津湯 清中安蛔湯 清熱解鬱湯
 清涼飲 洗肝明目湯 大百中飲 断痢湯 竹茹温胆湯 治酒査鼻方
 治頭痛一方 駐車圓 中正湯 当帰養血湯 当帰六黄湯 内疎黄連湯
 女神散 白頭翁湯 白頭翁加甘草阿膠湯 半夏瀉心湯 茯苓補心湯 巫神湯
 本方芍薬湯 明朗飲 龍胆瀉肝湯[一貫堂] 弄玉湯 回春茵陳散


d. 薬理作用
抗菌作用 (広い抗菌スペクトル, berberine)
止瀉作用 (berberine)


e.
帰経 心・肝・胆・胃・大腸
性 寒
味 苦
神農本草経 上品
中医分類 清熱薬 (清熱燥湿薬)


f.
備考 第十六改正日本薬局方収載品.
中国産味連は C. chinensis ,
雅連は C. deltoidea C. Y. Cheng et Hsiao,
峨眉野連は C. omeiensis (Cheng) C. Y. Cheng,
雲連は C. teeta Wall. subsp. lohitensis Pandit et Babu の根茎である. 中国産馬尾連はキンポウゲ科のカラマツソウ属 (Thalictrum sp.) の地下部.
参考文献 TN: 難波恒雄, 津田喜典編集, 『生薬学概論』, 改訂第3版, 南江堂, 東京, 1998.


from: 伝統医薬データベース 富山大学和漢医薬学総合研究所




2.

a. 分類

被子植物門 Magnoliophyta
双子葉植物綱 Magnoliopsida
モクレン亜綱 Magnoliidae
キンポウゲ目 Ranunculales
キンポウゲ科 Ranunculaceae
オウレン属 Coptis
種/ オウレン C. japonica
学名/ Coptis japonica (Thunb.) Makino(広義)
和名/ オウレン(黄連)


b. 名称・類縁

オウレン C. japonica
学名/ Coptis japonica (Thunb.) Makino(広義)
和名/ オウレン(黄連)
英名/
別名/


c. 要旨

キンポウゲ科オウレン属の植物の一種
常緑多年草

葉は根出状に出て、葉質はやや硬くてつやがある。
葉の形には変異が多く、変種が認められる。標準のものは1回3出複葉で、小葉は卵形で荒い鋸歯があり、3出状に裂けることもある。
花期は早春で、高さ15-40cmの花茎が葉を抜いて立ち、上方で分枝して、3つほどの小さな白い花を咲かせる。花茎の葉は目立たない。花は径10mm、5枚の細長い萼片は白くて花弁状、花弁はより小さくて数が多い。
雌蘂は花後に柄が伸びて、果実は車輪状の軸の先に袋がついたような形になる。先端部分は口が開いている。これは雌蘂の段階から開いているもので、果実時に裂開するものではない。


北海道、本州、四国の山地の木陰に自生する。針葉樹林に多く、
杉植林などにもよく出現するという。


d. 同定、他

<種内変異>
葉の形に変異が多く、変種名もそれにちなんで与えられている。

オウレン(広義)
 Coptis japonica (Thunb.) Makino

キクバオウレン
 Coptis japonica (Thunb.) Makino var. anemonifolia (Siebold et Zucc.) H.Ohba
 :オウレンとも。 1回3出複葉。
 (シノニム -Coptis japonica (Thunb.) Makino var. japonica auct. non Makino)

セリバオウレン
 Coptis japonica (Thunb.) Makino var. major (Miq.) Satake
 :セリバオウレン。 2回3出複葉。本州と四国に分布。
 (シノニム -Coptis japonica (Thunb.) Makino var. dissecta (Yatabe) Nakai ex Satake)

コセリバオウレン
 Coptis japonica (Thunb.) Makino var. japonica
 :コセリバオウレン。 3回3出複葉。本州太平洋側に分布。
 (シノニム -Coptis japonica (Thunb.) Makino var. major (Miq.) Satake)


<利用>
薬用植物のため栽培もされる。播種より収穫するまでに最低5-6年を要する。


<生薬>
本種、および同属のC. chinensis、C. deltoidea、C. deltoideaの根をほとんど取り除いた根茎は黄連(オウレン)という生薬で、苦味健胃、整腸、止瀉等の作用がある。
この生薬には抗菌作用、抗炎症作用等があるベルベリン(berberine)というアルカロイドが含まれている。
黄連湯、黄連解毒湯、三黄丸、三黄瀉心湯、温清飲などの漢方方剤に使われる。


from: オウレン - Wikipedia
2015-0527




3.
黄連(おうれん)

分類/ 清熱燥湿薬
出典/ 神農本草経
処方用名/
黄連、川連、雅連、川黄連、川雅連、小川連、炒黄連、姜連、姜川連、酒連、酒炒川連、萸連、萸黄連、オウレン
基原/
キンポウゲ科 Ranunculaceae のオウレン Coptis japonica MAK.、およびその他同属植物の根をほとんど除いた根茎。
以上は日本産である。
中国産は同属の C. chinensis F.(川連・味連)、 C. deltoidea C. Y. CHENG et HISAO (雅連・峨眉連)、 C. omeiensis C. Y. CHENG (野黄連、鳳眉連)、 C. teetoides C. Y. CHENG (雲連)などに由来する。
性味/ 苦/寒
帰経/ 心、肝、胃、大腸
効能/
清熱燥湿、瀉火解毒
1.腸胃湿熱による下痢、赤痢、嘔吐などの証候に用いる。
単独でも有効である。
一般に木香を配伍して香連丸を使用する。
赤痢、発熱があるときに葛根、黄芩を配伍する。例:葛根芩連湯。
肝火あるいは胃熱による嘔吐に用いるときに、呉茱萸を配伍する。例:左金丸。
あるいは半夏、竹筎などを配伍する。例:黄連橘皮竹筎半夏湯。
みな清熱降逆止嘔の効能がある。
2.熱病による熱盛火積、壮熱、煩躁、意識不明、譫言などに用いる。
黄芩、山梔子を配伍する。例:黄連解毒湯。
心火亢盛による煩躁、不眠、血熱迫行による吐血、衄血、血便などに黄芩、芍薬、阿膠を配伍する。例:黄連阿膠湯。
3.癰腫瘡毒、疔毒、耳腫、目痛などに用いる。
常に黄芩、山梔子、連翹などを配伍する。例:「外科正宗」の黄連解毒湯。
耳目腫痛では外用できる。
粉末あるいは浸汁で局部に塗る。
このほか胃火熾盛による消殻善肌、煩渇多飲の中消証に用いるときは、天花粉、地黄を配伍する。例:崔氏方。

from: 薬膳情報.net-中薬(黄連)
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/ouren.html
2015-0527




4.
オウレン
キンポウゲ科オウレン属:多年草:草丈 ~20センチ:花期 ~3月

a.
<分布生育場所>

科名:キンポウゲ科/属名:オウレン属
和名:小芹葉黄連/生薬名:黄連/学名:Coptis japonica var.major

薬用として用いられるセリバオウレン
日本全土で広く栽培。富山、新潟、山形県の日本海側に自生するキクバオウレン
新潟県岩船近辺の黄花キクバオウレン、黄花のキクバオウレン
葉が3回3出複葉のコセリバオウレン

バイカオウレン、新潟県・角田山/キクバオウレン
山形県月山のコシジオウレン(ミツバノバイカオウレン)、ミツバオウレン

b.
<見分け方・特徴>
高山帯や北海道などに見られるミツバオウレンや温暖地のやや湿地に多いバイカオウレンは小型で根茎も発達せず、それに比べて根茎の発達がよく、太くなるオウレンは葉の形状からキクバオウレン、セリバオウレン、コセリバオウレンと区別します。
キクバオウレンは富山県、新潟県、山形県などの日本海側に自生します。
葉が細くなったセリバオウレンやコセリバオウレンはむしろ太平洋側に見られますが、一般にオウレンは冬期降雪地域に多いので、積雪により葉と花芽などが保護されていると思われます。
これはオウレンの栽培における貴重な指標になるものです。

オウレンの名は、複葉の葉の形により1回3出複葉のものをキクバオウレンに分類されています。
また、2回3出複葉のものをセリバオウレン。
さらに、3回3出複葉のものをコセリバオウレンに分類されています。

現在各地に栽培されるオウレンはタンバオウレン(丹波黄連)と呼ばれるセリバ型の種類で、丹波の国で育成された栽培種です。

c.
<採集と調整>
秋から春の開花期に掘りとりますが、一般には秋にとることが多いようです。掘りとった根茎は細根を切り取ります。
これは、細根には主成分であるベルベリンがわずかしか含まれていないからです。
細根を切り取った根茎をそのまま乾燥させますが、さらに残った細根を焼いて根茎だけにしたものを生薬の黄連(おうれん)といいます。むしろなどで、こげた細根の跡を磨いて取り除いたものをとくに磨黄連(みがきおうれん)といいます。漢方で用いるものはこのように調整したものですが、根茎は節状に珠が連なったようになっており、その断面が黄色をしているところから黄連の名があります。

d.
<薬効・用い方>
健胃(けんい)、整腸薬として消化不良や下痢止めに用います。苦味が強いのは黄色物質のベルビリンによるもので、粉末や煎じ薬として用います。黄連の性として寒であるため、病態が冷えているような場合には用いられません。
粉末は一回量0.3~0.5グラムを1日3回食前に服用し、煎じ薬とするには刻んだ根茎3~5グラムに水0.5リットルを加えて煎じ、約半量まで煮詰めたものを三っつ分け、毎食前に服用します。
普通に黄連を煎じ薬とするときは、根茎だけでなく細根をつけたまま乾燥したものを使うこともあります

e.
<他>
薬用植物で栽培される種類のうちオウレンは筆頭に入りますが、種をまいて収穫するまでに少なくとも5~6年を要するため、栽培を行う人が少ないようですが、他の農作物などの栽培が困難で収穫が悪く生産性の少ない土地などではオウレンの栽培は好適と考えられます。種子は4~5月頃に採取しますが、砂を混ぜて播種期(はしゅき)の晩秋まで土中に保存すると発芽率はよくなります。栽培種としては丹波系のものがよいでしょう。播種の翌年、苗床より掘り取り4~5本を1株として本畑に植え込みます。
オウレンは日陰の植物で、直射日光が強い所では葉が日焼けするため、寒冷紗(かんれいしゃ)などで約50%に光量を制限する必要があります。また、晩秋には翌年の花芽の形成が進むので寒風や凍結にはとくに注意し、雪の降らない地方でも、籾殻や藁などで保温する必要があります。

黄連(おうれん)は中国産のシナオウレンの根茎をとり乾燥したものです。
オウレンの名前は古くはカクマグサを漢名の黄連(おうれん)と同一物としてあてました。それ以後カクマグサの名前は黄連(おうれん)に置きかえられてきたものです。
現在日本では、一般に黄連(おうれん)として用いられるものの大部分は日本産のオウレンの根茎が使用されていますが、シナオウレンにつけられた黄連(おうれん)とはことなっていて正しくは和黄連(わおうれん)と呼ぶべきです。薬用にする場合には中国産も日本産も相違がないことが知られています。

from: 薬草,イー薬草・ドット・コム
http://www.e-yakusou.com/yakusou/070.htm
2015-0527



参考にした文献、サイト等
伝統医薬データベース 富山大学和漢医薬学総合研究所
Wikipedia
薬膳情報.net
薬草,イー薬草・ドット・コム