「漢方の歴史」
-中国・日本の伝統医学
著者: 小曾戸 洋
出版: 大修館 初版 1999・06・01



1、竜骨とは 実際のところ 大概 亀甲 と 牛肩甲骨らしい

1903年 「鉄雲蔵亀」
甲骨文字研究の一節
殷墟発掘
「宗教的医療」と「経験的医療」



2、扁鵲について

「韓非子」「史記」 等
春秋戦国期(BC8~3C頃) 数百年にわたる記載記録の残る人物像
『揚子法言』『淮南子』などでは「扁鵲は 盧の人」
史記などによると 渤海郡 河北省任丘県の人とされる
脈を論ずるもの その元を扁鵲に至る



3、扁鵲による六不治の病の趣意とは

1) 驕り高ぶる 理をわきまえぬひと
2) 身体を粗末にし 財を重んずるひと
3) 衣食の節度を保てぬひと
4) 陰陽共既に病み 内気乱れきったひと
5) 痩せ衰え 服すを叶わぬひと
6) 巫に離れず 医に就かぬひと

ここでは、特に最後の点が医療と宗教の分離を説いたものとして後世、しばしば引用されるとされているらしいが、要は人とは意図において如何に背反せる骨を背負っているかを穿つことばであることかと感嘆す



4、周礼

「医師は医の政令を掌り 毒薬を集め以って供す」
次の医の領域を規定し 上位程格が高いとされた

現世であれば 樹医さながら”森医”を第一と込めたいものだ
1) 食医
2) 疾医
3) 瘍医
4) 獣医



5、医食同源

1970年代の日本造語らしい
しかし 正倉院に伝わる事物や江戸期益軒の養生訓を観るまでもなく 古く伝わる概念であったであろう
古代世界において 食医、疾医、瘍医という区立ては ある一般化した観念であったようだ
(文献抄: 「東洋医学入門」大塚恭男)



6、未病を治す

「上工は未病を治し 巳病を治さず」(「霊枢」)
「上医は国を医し 中医は人を医し 下医は病を医す」(「少品方」)
「上医は聞診を行い 中医は望診を行い 下医は脈診を行う」(「千金方」)
「病ありて治せざれば、常に中医を得る」(「漢書」芸文志)
上工とは 上工、中工、下工 もしくは上医、中医、下医とされる上格の医とし 医の格を以って 医を指し示す



7、医書について

「漢書」について
班固(西暦80年頃)の編纂

1)「医経」方
含写本等の一部として現存
黄帝内経 (「素問」「霊枢」等)
扁鵲内経


2)「経方」方
含写本等の一部として現存
五臓六腑脾十二病方
婦人嬰児方
神農黄帝食禁
湯液経方(「傷寒論」等)


3)「房中」方
陰道術書とされ 略消失
容成陰道


4)「神仙」方
含写本等の一部として現存
上聖雑子道
(叢書として 「道蔵」)


「房中」「神仙」について
「特異な性質の秘術で、医療というよりもむしろ積極的な養生書というべきであろう。」とされている




以上

「漢方の歴史」
-中国・日本の伝統医学
著者: 小曾戸 洋
出版: 大修館 初版 1999・06・01

第一章 抄