行人 夏目漱石 | いつかどこかで

いつかどこかで

いつかの私へ。いつかのあなたへ。

雫のきままなひとりごとです。

死ぬか 


気が違うか


それでなければ宗教に入るか


僕の前途にはこの三つのものしかない


然し宗教にはどうしても這入れそうにもない


死ぬのも未練に食い留められそうだ


なればまあ気違いだな


然し未来の僕はさておいて


現在の僕は君正気なんだろうかな


もう既にどうにかなっているんじゃないかしら


僕は怖くてたまらない