☆テマセク、メリルへの出資は補償金含め34億ドルと発表 (7・29日経)


 シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスは29日午前「メリルリンチによる公募増資に34億ドルを出資する」とメリルへの追加出資を認めるコメントを発表した。ただ「34億ドルにはメリルがテマセクに支払う(補償金)25億ドルを含んでいる」とし、実際の追加資金は9億ドルになるとの見方を示した。

 テマセクは昨年12月にメリルに出資を決めた。その際、12カ月以内にメリルが増資し、その公募価格がテマセクが昨年出資した時点の価格よりも低い場合は補償金を支払うことになっていたという。


☆米メリル、9000億円増資 サブプライム資産を処理 (7・29日経)


 米大手証券メリルリンチは28日、普通株発行で最大85億ドル(約9000億円)を公募増資すると発表した。シンガポールの政府系ファンド、テマセク・ホールディングスが34億ドルを出資する。多額の評価損の原因となっている信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連資産の処理費用にあてる狙い。他の米金融大手に比べて遅れていた損失処理を一気に進め、業績の回復を目指す。

 メリルは昨年7月からの1年間で410億ドル超のサブプライム関連損失を計上。損失穴埋めのため、昨年末以降、テマセクやみずほコーポレート銀行などを引受先に150億ドル超を増資した。

 だが損失処理が長期化する中で、市場では一段の資本増強を予想する見方が多かった。赤字決算が続くメリルの株価は下落しており、資本の出し手を探す作業は難航。金融情報会社、ブルームバーグの持ち株売却など保有資産の売却による資金調達も同時に進めていた。


 ついに虎の子の資産、ブルームバーグにまで手をつけたメリルリンチ。剛腕のセインCEOがあの手この手で立て直しを図ろうとしていますが、かなり追いつめられた感がありますね。

 そんな中、引くに引けないでいるのがシンガポール政府系ファンドのテマセク。こちら、サブプライムの早期の段階でメリルに多額出資したものの、これほどサブプライムがややこしいウイルスだったとは想定外だったのでしょう。投資回収もままならず、追証のごとく、追加出資ということになりました。

 なんせ、万一テマセクがメリルを見限ったなんてことになれば、メリルはもう終わり・・・。となるとテマセクの大損は確定してしまいます。これまでのファンドの好成績のプライドにかけて、メリルをつぶすことはできない・・・。となると、もう、追加出資しか選択の余地はなかったのですね。

 シンガポールの現在の繁栄は、巧みな投資戦術でこれまで蓄積してきたものです。いわば、「金融」で飯を食ってきたといっても過言ではないでしょう。今回、メリルに補償金を払ってもらう契約を結んでいたことからも、かなりのつわものぶりを発揮しています。こんな契約、日本ならきっと結べていなかったでしょうね(笑)。

 ただ、サブプライムによる「金融」の崩壊で、シンガポール経済にも徐々に暗雲が立ち込めているのも確かです。特にインフレが心配ですよね。シンガポールはそんな中、海外投資の多様化に踏み切り、ロシア、トルコ、アジア、中東など、成長の見込める新興国に軸足を移しつつあります。

 ほんとうなら、もう、メリルからは手を引いて、成長の見込める違う投資先にシフトしたいのは山々でしょう。ですが、いちど乗り込んでしまった泥舟からはそう簡単には抜け出せません。そこに今のシンガポールのジレンマがありそうです。この先の展開に要注目ですよね。