☆「バドワイザー」買収合意を発表 (7・14日経)


 ビール出荷量世界4位で「バドワイザー」ブランドで知られる米アンハイザー・ブッシュは13日、同2位のベルギーのインベブによる買収提案を受け入れると発表した。買収総額は約520億ドル(約5兆5000億円)。経営統合により売上高約360億ドル、世界市場の4分の1弱のシェアを握る最大のビール会社が誕生する。

 新会社名は「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」。アンハイザー側は当初、統合交渉に消極的だった。しかしインベブが買収額を1株当たり65ドルから70ドルに引き上げたことなどから、受け入れを決めた。

 インベブは欧州と南米に強みを持つ。米市場の半分のシェアを持つアンハイザーとの統合で地域的な補完関係の構築を目指す。穀物や素材類の値上がりで原料の大麦や容器素材のアルミニウムが高騰しているため、両社は経営規模を拡大して仕入れ価格を低減。コスト競争力を強化する。


 これは、巨額なディールが決着しましたね。私は今回のこの買収劇はまさに、欧州が米国を飲み込もうとする構図の象徴ではないかと見ています。インベブは欧州ならびにこれから資源高の恩恵を受け、有望マーケットとなりつつある南米に地盤を持つところが強みですね。アンハイザー側は、米市場の半分のシェアを持つとはいいながらも、今後、生活防衛に走る消費者動向を考えると、おいしい条件のうちに、長いものに巻かれてしまった方が得策かと考えたのではないでしょうか。

 さらに、今後、サブプライム問題のあおりで、アメリカ経済への信認がさらに揺らいだ場合、ドル安、ユーロ高に拍車がかかり、無意味な買収合戦は、アンハイザー側への相当なダメージとなる可能性があったわけです。

 オイルマネーは宗教上の理由から、アルコールを扱う企業への投資を控えるところもあり、ホワイトナイトとして登場してくれそうなところも見当たらず、そしてこの原材料高のあおりを受け、同業者と組み、コストの効率化に力を入れることも確かに必要であったことが、この買収を成功させた要因となるでしょう。

 しかし、アンハイザーのような大企業が飲み込まれるというこの世界の風。これは、インベブと提携関係にあるアサヒ、アンハイザーと提携関係にあるキリン、共に明日は我が身かもしれませんよ(笑)。

 この風は、日本の飲料業界の明日吹く風と思っていた方がよさそうです。現に、今、あたふたとしてそうなのが、こないだサントリーに3位の座を譲ってしまったサッポロ。大株主のスティールもかなり強硬な手段に打ってでそうでもあり、アデランスの時のような経営者不信任がまた、起こらないとも限りません。それに、おいしい技術と、おいしい不動産を多数抱えているのも、ターゲットの素質十分・・・。

 また、新会社、「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」は、規模のメリットを生かし、新興国に販売攻勢をかけるようですので、これは、国内の頭打ちから新興国へと脱皮しようとしていた国内勢にとっては痛いですね。アルコールに頼らず、多角化で食品メジャーを目指して、生き残るしか道はなさそうです。

 サッポロ争奪戦から風穴があき、飲料・食品業界は今後、大荒れの予感です。