☆味の素と伊藤ハムが提携、畜産飼料やギフト開発(5・31日経)

 味の素と伊藤ハムは30日、畜産用飼料やギフト商品の開発などで業務提携すると発表した。原材料価格の高騰や「食の安全」志向の高まりを背景に、両社が得意とする技術やノウハウを組み合わせ付加価値の高い商品開発や生産コストの削減に取り組む。提携により、2012年3月期までの4年間で両社合わせて約40億円の営業増益効果を見込む。

 両社は週明けに推進委員会を発足させる。傘下に「専門部会」を設置し提携の具体的な中身を詰める。資本提携については「現時点では考えていない」(山口範雄味の素社長)としている。

 畜産用飼料の開発では、味の素のアミノ酸生産過程で発生する副産物を伊藤ハムの牛や豚などの肥育に活用する。副産物が肥育に与える影響について分析し、生産性や品質向上につながる飼料開発に共同で取り組む。


 食品会社のタッグがますます加速してきました。一見畑違いと思われるこの2社ですが、付加価値品の開発で両社の技術を持ち寄り、タッグを組めば、思わぬ未開拓の分野へ進出できる可能性もあるかもしれません。

 もともと両社は数十年にわたる取引関係がありました。味の素が伊藤ハムに飼料や食肉加工用調味料、伊藤ハムが味の素へ冷凍食品用の食肉などを供給していました。

 もともと親密だったこの企業がここにきて業務提携に走ったということは、ここのところの食品業界を巡るあまりにも過酷な環境の変化に後押しされたとしかいいようがありませんね。

 まずは味の素。調味料関係では圧倒的なシェアを誇る同社ですが、失速の原因はなんといっても消費者の冷凍食品離れにつきるでしょう。同社の餃子は同部門の屋台骨ともいえる金の卵だった訳ですが、中国の「毒餃子事件」がこれまでの利用者を手作り餃子の道へと走らせました。スーパーで餃子の皮と豚ミンチがバカ売れしたことは記憶に新しいと思います。ただでさえ餃子の皮を作るための小麦粉、餃子の餡を作る豚ミンチなどの原材料高、さらにガソリン高による配送のコストが収益を圧迫しているのに、小売業界では半額以下で投げ売りされ、ほんとに泣きっ面に蜂といっても過言ではないでしょう。さらに、いつもならすぐに喉元過ぎれば熱さを忘れてしまう日本人が、今回ばかりは冷凍食品になかなか戻ってきてくれないのも大誤算です。やはり、家族の健康というものはいちばん大事なんだということを思い知らされたと思います。

 次に伊藤ハム。今回の四川大地震で大量の豚が死んでしまったことが暗示するかのように、これからますます、原材料高の高騰は必至。さらに、最近ではソーセージを作る際の発色剤、保存料などの問題も主婦の間では取りざたされるようになり、鶏のムネ肉で自家製の鶏ハムを作る主婦が増殖しているといわれています。さらに、王者の日本ハムの後塵を拝する2番手企業という弱みもあり、収益は圧迫されぎみ。新しい商品を開発しようとおみそなど、調味料の分野にも進出しようと試みていましたが、まだまだ市場に認知される商品を生み出せるところまできていないのが現状ですよね。

 このように、両社ともが疲弊気味の今、タッグを組んで起死回生を図りたいというのが真相ではないでしょうか。味の素の卓越したバイオの力で体にいい健康飼料をつくれたなら、伊藤ハムが作る食肉にも付加価値が出ることは必至、さらに、食費を削りつつある一般家庭において、唯一、奮発する分野がお中元、お歳暮などのギフト需要。特に食品偽装問題が出てからは、送り手も目を凝らして商品を選別する傾向にあります。となれば、健康志向のおいしいギフトを開発することによって得る果実は期待できますよね。

 今後も、食品会社の中での業務提携はどんどん加速していくとみられます。さらに、業務がバイオの面まで拡張する場合には、資本提携も起こりうるでしょうね。昨日もお伝えしたように、大塚製薬、サントリー、ロッテなどの非上場企業が力を増殖している今、いくらガリバーの味の素でも、安穏とはしていられないのが現状なのです。

今後の食品会社のさらなる再編から目が離せません。