国際価格の高騰でコメの不足懸念が強まっているフィリピンに対し、日本がコメを輸出する構想が浮上してきた。社団法人の米穀安定供給確保支援機構が2005年の豊作時に買い取ったコメ5万トンを活用し、商業ベースで輸出する案が有力だ。日本の商業用のコメ輸出量は昨年1年間で1000トン弱。この構想が実現すれば、過去最大の輸出規模となる。
フィリピンは世界有数のコメ輸入国。コメ相場の指標となるタイ産の値上がりで調達が難しくなっている。ベトナムなどと輸入覚書を交わしたのに続き、日本にも協力を要請したもようだ。
☆タイ米の輸出価格、最高値1000ドル超(5・15日経)
コメの国際指標価格であるタイ米の輸出価格は14日、代表銘柄が1トン=1000ドルを突破し、過去最高値を更新した。輸出国のミャンマーがサイクロンで被害を受けたことや、マレーシアがタイ米を実勢価格より10%高い水準で輸入すると決めたことを受け、値上がりに拍車がかかった。
タイ貿易取引委員会が14日発表したタイ米輸出(FOB=本船渡し)価格は、長粒種1級(100%、精米)が1トン1054ドルと、1週間前の同976ドルから急伸した。長粒種2級(同、同)は同1020ドル、くず米5%入り(精米)は同1003ドルなどと、軒並み1000ドル台に乗せた。
輸出価格は年初の2.5倍の水準にある。
☆サウジ、タイのコメ生産に投資検討(5・11日経)
サウジアラビア政府は年末までに、タイのコメ生産者に投資する検討を始めた。ロイター通信が9日、貿易関係者らの話として伝えた。タイは世界最大のコメ輸出国で、サウジは世界6位の輸入国。国際コメ価格が急騰するなか、人口増で拡大する国内需要を確保する。
関係者によるとサウジ政府高官と民間企業の代表が先週、タイの投資家と接触、共同投資の可能性を協議し始めた。サウジは投資先のタイの生産者からコメを輸入して国内需要を満たすだけでなく、アラブ首長国連邦(UAE)など近隣のペルシャ湾岸諸国にも輸出する計画だという。
食糧危機がコメにまで波及し、ついに、人々が生きていくための主食までもが脅かされる非常事態となっています。社会不安を阻止するため、コメの囲い込みが進み、ベトナム、カンボジアとコメの輸出を禁止する国が相次いでいます。世界のコメ市場の約60%をしめるタイ、インド、ベトナムがコメの輸出価格について協議するというカルテルのような動きも出始め、なんとかしないことには、恐ろしい事になりそうですね。
また、産油国がコメにまで食指を動かす構図がさらに鮮明となってきました。サウジがタイのコメ生産に投資というニュース。これは大ニュースだと思います。やはり、どんなにお金があっても、おいしいものが食べれないと、不満は高まりますよね。今後もオイルマネーが「食」市場へとドワーと流れ込むのは必至の状況です。そういえば、その前から、UAEは穀物の戦略備蓄の検討を始め、オマーンは需要2年分とされるコメ20万トンを国際市場で買い付ける計画を明らかにしましたよね。金に糸目をつけないオイルマネーの存在が、さらにコメの高騰を加速させる要因となりそうです。
そんな中、やっと日本も重い腰を上げましたね。フィリピンへのコメ5万トン輸出計画。これは、日本がリーダーシップ゚を取り、世界的コメ不足を解消しようとする強い意思表示とも見なされ、評価できる戦略だと思います。さらに、これをきっかけに、唯一、農産物として商業ベースで国際競争力が期待できそうなコメを日本の新たな産業として見直すべく、農業改革に邁進してほしいものです。莫大な倉庫代を払い、意味もなく積み上げられている備蓄米は、速攻で、今、災害に合われている国々への援助、さらに、コメ不足で困っている国への輸出、などで有効に使用するべきだと思います。そして、耕作放棄地などの問題も考えつつ、農業の効率化を図り、なんとか「農」の分野でも、日本の繊細なものづくりの能力を世界に知らしめたいものですよね。それが日本の国力を活性化させるターニングポイントになりそうな気がしてならないのです。