医薬品各社がインフルエンザ治療薬の国内生産に乗り出す。富士フイルムホールディングス子会社の富山化学工業が2009年にも新工場を建設、新型インフルエンザへの効果が期待される新薬の生産を始める方針を固めたほか、第一三共や塩野義製薬も承認申請に向けた最終的な臨床試験(治験)を年末に始める。いずれも厚生労働省の承認が必要だが、輸入に全面依存する治療薬の国産化により新型インフルへの対策が加速する。
自民、民主の両党は新型インフル対策を目的とした感染症予防法と検疫法の改正案を25日に成立させる方針。感染の可能性がある人の移動制限などのほか付則には治療薬やワクチンの備蓄拡大も盛り込んだ。医薬各社の取り組みはこうした国の対策を後押しする。
考えてみれば、食料と同じく薬も、人の命に直結する大切なもの。安心・安全な国産が生まれれば、こんなにいいことはないですよね。特に、人々を恐怖に落とし入れる「新型インフルエンザ」はきっと、タミフルやリレンザへの耐性を持ってしまった手ごわいウイルスに進化していると思われますので、官民一体となって、一日も早く、商品化へ向けて、頑張ってほしいものです。
富士フィルムの子会社となった富山化学、早くもその技術を結実させるチャンスが巡ってきましたね。富山化学は新型インフルエンザにも有効になると思われる新薬を開発中でしたが、資金的に限界があり、いまいち波に乗れていませんでした。
しかし今年2月、資金力が潤沢な富士フィルムの傘下に入ったことで流れが変わりましたね。早くも、富士フィルムと大正製薬向けに実施した第3者割当増資で得た資金を活用し、新工場の建設へと踏み出しました。
この流れは、先日お伝えした大手製薬会社の疲弊とはまるで対照的ですよね。武田薬品、エーザイは、軒並み、大型M&Aによるコスト増が足元の業績の重しとなってしまいました。つい半年ほど前までは、天と地ほどの差があった業界内での位置付けが、ここからの展開次第では分からなくなってきたわけです。
バイオの世界はたったひとつの薬の成功が、業界の覇者へと導く一発逆転の可能性がある業界です。そこでものをいうのが、ここぞという時に機動的に投下できる資金の潤沢さです。武田もエーザイも、がん治療に的をしぼって、大型買収に踏み切ったようですが、世界的なドル箱に成長する可能性があるのは、このインフルエンザ薬の方だと思います。特に、爆発的な人口を抱えるアジア市場を制覇するつもりなら・・・。
大手製薬会社は、海外の企業ばかりに目がいって、こんなに近くにきらりと光る技術を持った企業があることをないがしろにしていたのではないでしょうか。その点、富士フィルムはいい買い物をしたという気がします。
ただ、もちろん、富山化学の独壇場となるほど甘い世界ではありません。第一三共や塩野義製薬も最終治験を年末から始める予定など、このビジネスチャンスをみすみす逃そうとはしない企業も数多く出てくるでしょう。外国の大手もしかりです。今後、開発競争は、ますます熱を帯びてくるでしょう。 さらに、この開発をきっかけとした世界的な大再編が起こりうる可能性も出てきました。今後の展開に要注意です。