☆武田、米バイオベンチャーを8800億円で買収 (4・11日経)

 武田薬品工業は10日、米バイオベンチャーのミレニアム・ファーマシューティカルズ(マサチューセッツ州)を88億ドル(約8800億円)で買収すると発表した。買収により抗がん剤や患者個人の体質に適した新薬を開発するテーラーメード医療を強化する。国内の製薬企業としては過去最大の買収額になる。国内の製薬会社は新薬不足が続いているだけに、開発力のある海外の製薬会社と連携する動きが今後も広がりそうだ。
 武田は2015年度に大衆薬を除いた医療用医薬品の売上高を2兆円(06年度実績60%増)まで拡大する計画を立てている。今後、主力の薬剤の物質特許が主要市場の米国で相次ぎ切れることもあり、自社の研究体制を強化していたが、開発が予定通り進まないため、巨額買収に踏み切る。


☆日本調剤、後発薬全種に対応・薬局各店で500品(4・15日経)

 調剤薬局大手の日本調剤は約250カ所の全店で、安価な後発医薬品のほぼ全種類を供給できるようにした。大手薬局チェーンとして初めてで、一般的な調剤薬局の約5倍に当たる500品の後発薬を用意。医療費削減のため4月の診療報酬改定で後発薬を選択しやすくなった規制緩和に対応し、患者が手に入れやすくする。他の薬局チェーンも追随しそうだ。

 特許が切れた新薬と同じ有効成分を使い3―7割安い後発薬は、今月から医師が出す処方せんの様式が変更。医師が使用を禁じない限り、患者が自由に購入できるようになった。日本調剤は後発薬の薬剤師研修や新薬との価格差データベース構築に加え、約300品だった1店の在庫を狭心症薬などを追加して500品に増やした。これによりほぼ全種の新薬を代替し、全国の病院・診療所で出す処方せんの98%に対応できる体制を整えた。


 日本を代表する医薬品メーカー、武田までもが海外シフトの戦略を鮮明にしてきました。ずっと動かずにいた武田が、なんと8800億円もの巨額買収。これは相当のリスク覚悟の投資です。なんといっても武田が持つ現金及び有価証券の合計額、1兆7000億円強のほぼ半分を投じているわけですから・・・。

 逆にいえば、それだけ武田が追い詰められていたということになります。国内医薬品市場の縮小。糖尿病治療薬など主力製品の相次ぐ特許切れ。薬価引き下げ。後発医薬品市場の急成長。食品企業のバイオ参入・・・。逆風を避けることは至難の業です。生き残るために海外へ大きく舵をとることは限られた選択でした。

 今月から処方箋の様式まで変更され、医療費の抑制をもくろむ政府の後押しで、後発医薬品が先発医薬品のシェアをどんどん浸食していくことは不可避です。さらに、キリンが協和発酵を買収するなど、食品業界が得意の発酵技術などでバイオに進出する例が増え、新たなライバルがどんどん増え始めてしまいました。同業他社も危機感を強め、海外に活路を見出そうとしています。エーザイも中国でのM&Aを検討し始めています。さらに、海外からも日本の後発薬市場に参入する動きが出てきました。イスラエルやインドの後発医薬品メーカーが日本に照準を定めてきています。

 武田が大きな決断をしたことは評価できますが、私は今回の買収ははっきりいって高すぎると思います。後々、どういう結果になるかが見ものですよね。エーザイもアステラスもここのところ次々外国企業の買収を進めていますが、相手先企業の製品の将来性をよく見定める目がものをいうでしょう。結果は数年先にならないと分からないかもしれませんが、この選択が将来の再編の行方を決定づけることは間違いないですね。

 それにしても、武田はもう少し手元にキャッシュを残しておけばよかったのに・・・。というのが今の私の率直な感想です。もう少し待てば、もっと安く手に入ってたのに・・・。なんて(笑)・・・。

 今後、医薬品市場も大荒れの様相を呈してきました。日本企業の海外シフトが究極のディフェンシブ銘柄である医薬品にまで広がってきたこと、重く受け止める必要がありそうです。