ブラジルで鉄鋼の増産投資が加速している。世界首位アルセロール・ミタルが今後5年間で50億ドル(5000億円)を投じ年産100万トンの新高炉を建設、ブラジル鉄鋼大手のCSNも6年間で95億レアル(5500億円)を投じ年間450万トンの増産に踏み切る。新日本製鉄やJFEスチールなど日本勢も製鉄所建設に動き出しており、年間3700万トンの粗鋼生産能力が倍増以上の8000万トンに達する可能性がある。
主要各社がブラジルで積極投資に乗り出すのは、国内や周辺国での建設資材、自動車向けの需要が急拡大しているため。鉄鉱石の最大生産国であるブラジルで優良鉱山や生産基盤を確保し、原料を安定的に入手するとともに各地への輸送拠点を整備するのが狙いだ。
☆JFEもブラジルに高炉・5000億円超投資、新日鉄に続く (4・9日経)
JFEスチールは8日、鉄鉱石から粗鋼を生産する大型高炉をブラジルに建設するための企業化調査(FS)を始めると発表した。現地企業などとの合弁で5000億―6000億円を投じ、2012年の稼働をめざす。資源高騰に対応、鉄鉱石生産国への直接進出でコスト競争力を高める。ブラジルでの高炉建設は新日本製鉄も計画するほか、JFE、新日鉄はタイでも検討中。新興国市場の開拓に向けた国内鉄鋼大手の海外大型事業が一斉に動き出す。
これまでの国内鉄鋼大手の海外進出は自動車用鋼板など後工程の工場が中心。各種鋼材の母材をつくる自前の高炉は海外になく、今回のJFEや新日鉄の計画は同業界のグローバル化が新段階に入ることを意味する。
サブプライムで思わぬ失速をくらった世界経済。しかし、そんな中で思わぬ活況に沸いている国。それがブラジルです。1999年に通貨危機に陥ったブラジルも、資源高による鉄鉱石輸出の好調さが牽引し、IMFからの借金を05年末に繰り上げ返済。昨秋には政府系ファンド設立を表明しました。また経済の安定に加え、突出した高金利ゆえに海外からの投資資金の流入が加速しています。鉄鉱石以外で私が注目している「食資源」の豊富さも、ブラジルの圧倒的な強みといえるでしょう。
先日の新日鉄に続き、本日はJFEがブラジルでの高炉建設の検討に乗り出しましたね。さらに住友金属もブラジルで10年までに鋼管大手の仏バローレックとの合弁で年産100万トン規模の小型高炉を建設する予定です。
住友金属は自社の強みであるシームレスパイプ製造をブラジルで強化する予定で、筆頭株主の住友商事がその事業に100億円の出資を決めています。
それにしても、日本企業の横並び意識はすごいですね。1社が動き出すと我も我もと同じ方向に動き出すのはどの業種にも共通しているところですね。しかし、ブラジルより他に理想的な場所がないということは今のところ当たっていると思います。経済成長の続く南米市場に食い込むためにも、また近隣の北米での事業の競争力を高めるためにもブラジルへの巨額投資は避けて通れない道なのかもしれませんね。
日本企業以外にも、ミタルや宝鋼集団などがこぞってブラジルへの巨額投資に踏み切っています。今度はブラジルの国内での熾烈な争いが展開されていくでしょう。そして、その競争は鉄鉱石の供給源である、地元ヴァーレなどの企業を多分に潤すことでしょう。ブラジル国内で当面鉄鋼業界のし烈な経済戦争が起こることは必至で各国の資源囲い込み戦略の行方から目が離せない状況となりつつあります。