☆東芝、米で新たに原発受注、2基で7000億円規模(4・10日経)

 東芝が米国の電力大手、プログレスエナジーから原子力発電所2基を受注する方向で最終交渉に入ったことが9日、明らかになった。フロリダ州で建設し、総事業費は7000億円程度とみられる。東芝は同日、ジョージア州で原発2基の受注を正式発表した。米国内のほかの州も含め、東芝は3月以降だけで計8基、3兆円弱の内定を固めた。原発の新設ラッシュが続く米国市場で、東芝の優勢が一段と鮮明になってきた。

 東芝傘下の米ウエスチングハウス(WH)はプログレスエナジーから、原発設備のうち納期に時間がかかる機材をこのほど受注した。原子炉の圧力容器などが対象とみられる。長納期の設備の受注は原発建設全体を請け負う前段階の契約にあたるため、建設主体となることが濃厚になった。東芝とWHは早期の正式受注を目指す。


☆三菱重工、中国大手に原発向けタービン技術供与発表   (4・5日経)

 三菱重工業は4日、中国の重電大手のハルビン集団(黒竜江省)に、原子力発電所向け蒸気タービンなどの技術を供与すると正式発表した。両社は昨秋以降、中国で計4基の原発向けタービンを共同受注し、三菱重工が技術供与することで基本合意していた。タービン国産化を支援しつつ、中国の他の原発でも受注獲得を目指す。
 技術供与するのは出力120万キロワット級の大型蒸気タービン、湿分分離加熱器、給水加熱器など原発の「二次系設備」と呼ばれる主要機器群。設計図面を提供するほか、工場で生産技術も指導する。
 三菱重工はハルビン集団と共同で、中国浙江省と山東省の原発向けに計4基の蒸気タービンを受注している。タービン製造は当初、三菱重工が手掛けるが、将来ハルビン集団が自社生産できるよう技術支援する。


☆東芝、原子力分野でロシア国営と協力検討(3・20日経)

 東芝は20日、ロシア国営のアトムエネルゴプロム社と、原子力エネルギー分野で相互協力関係の確立に向けた検討を開始することで基本合意したと発表した。日ロ政府間で交渉が進む原子力協定が締結されることを前提に、両社の具体的な協力策を探る。

 両社は今後、ロシアでの新規原子力発電所建設や、タービンなど原子炉に必要な大型機器の製造や保守、ウラン採掘や精錬の3つの分野で、具体的な協力策を検討する。アトムエネルゴプロムはロシアの民生用原子力関連企業を統括する政府全額出資企業。

 米ウエスチングハウスを傘下に持つ東芝は原子力機器の製造にとどまらず、燃料から燃料再処理までを含めた総合原発企業への脱皮を狙っている。昨年もウラン資源が豊富なカザフスタンのウラン鉱山の採掘権を取得。海外原子力企業との関係強化に力を入れている。


 東芝の原発事業が波に乗っています。このところ矢継ぎ早に米国内で受注を連発、3月以降だけで計8基、3兆円弱もの内定を固めました。東芝は2006年に5000億円近く投じて米ウエスチングハウス(WH)を傘下に収めました。原子力発電の軽水炉には「加圧水型(PWR)」と「沸騰水型(BWR)」の二方式があり、BWRは建設費が割安だが放射能の管理が難しいとされています。世界の原発新設計画のうち、約7割が安全面の関係上、PWR方式になると見込まれる中、PWRのWHを傘下に収めた意味は東芝にとって大きかったでしょう。二方式の軽水炉を手掛ける世界唯一の企業となり、二方式両面作戦で受注獲得を有利に進めることができるからです。

 米国では1979年のスリーマイル島での事故以来、原発の新設が途絶えていましたが、エネルギー政策の転換により、今後20年間で約30基の原発の新設が計画されています。東芝の米国での受注連発は当然、新興国への営業の強力なセールスポイントとなり、今のところ波は東芝に来ている感がありますね。

 ここで面白くないのが他でもない三菱重工。技術力ではどこにもひけを取らないというプライドがありそうですから、資本の力で傘下に収めたWHの威光でここまで東芝が原発市場で成功するとは想定外だったでしょう。まして、三菱重工も現在主流になりつつあるPWR方式。営業に行く先々で東芝とガチンコになることは目に見えています。だから、三菱重工も必死で中国の市場に食い込もうと知恵を絞っていますね。

 現在はまだまだ米国が原発の有望市場だとみなされていますが、やはり、これからの市場は新興市場でしょう。受注の主戦場も必然的にそうなります。折しも原油価格が112ドル台という最高値をつけ、原発需要は世界で急拡大しています。30年までに世界で150基以上の新設が見込まれるといわれています。

 東芝の野望はとどまるところを知らず、早々とロシアと組んで、総合原発企業への脱皮を狙っています。ただし、私はロシアと組むのは要注意だと思います。サハリンの事例がありますからね(笑)。資本面、安全面、の双方から、絶えずリスク管理に目配りしながらビジネスを進めていく必要があるでしょう。

 今後、劣勢になりつつあるBWR方式の日立は原発事業をどうするのでしょうね。圧倒的な技術を持ちながら、それを生かしきれないのが日立の欠点だと思います。それからやっぱり、三菱重工のさらなる戦略が見ものですよね。この戦争、今後どんどん激しくなってくるでしょう。その行方から目が離せません。