☆炭素繊維製の自動車部材を量産化へ・帝人と三菱化学も参入   (2・29日経)

 国内の炭素繊維メーカーが2010年をメドに相次ぎ自動車用部材の量産に乗り出す。帝人と三菱化学が新たに本格参入、東レを含め3社が量産に踏み切る。炭素繊維は鉄鋼に比べ軽く高強度で、燃費規制強化を受け車体軽量化を進める自動車メーカー向けの需要が増えるとみて供給体制を整える。自動車の主要素材の鉄鋼では、新日本製鉄とJFEスチールが強度が一般鋼材の約7倍で、より薄くできる次世代鋼板の開発に着手。自動車の軽量化を巡る素材間競争が本格化してきた。

 日米欧では12年以降、自動車の環境規制が一段と強化される見込み。ガソリン価格高騰もあり、自動車メーカーは車体軽量化など燃費向上が急務。炭素繊維は重さが鉄鋼の4分の1、強度は10倍で、価格は現在1キログラム数千円。自動車用鋼板は1トン8万円程度。東レや帝人などは量産化で価格差を縮める。


現在、自動車会社の開発最前線で進められていること。もちろん、リチウム電池を使った夢の電気自動車の開発も大事ですよ。ですが、株式公開企業は各決算期に株主の納得が得られる業績を堅持しなければならないというつらいプレッシャーとも戦わなければなりません。そこで、夢を達成する努力は続けながらも、業績に即寄与するハイブリッドカーや新興市場向け小型低価格車も各企業はどんどんラインナップに揃えてくるわけです。

 そうした中、現実問題として自動車会社が直面しているのがコスト削減問題。鉄鋼の原料も高騰し、価格転嫁も進んできましたね。新興国の需要が高まる中でも、サブプライムに端を発した世界経済の動揺の中、自動車業界を取り巻く環境にも不透明感が漂い始め、そう簡単に鉄鋼業界の値上げ要請を飲むわけにはいかない。だけど、今後も原料炭の値上がりは続きそうで鉄鋼業界の言い分も分かる・・・。

 こうした軋轢の中、ピンチを切り抜ける切り札となるのが今回取り上げる炭素繊維なのです。自動車の軽量化とコスト削減を両方満たしてくれる夢の素材となりうるのです。炭素繊維が主要部材に採用されれば車体を1割以上軽くでき、燃費は4-5%改善する見通しとのことです。

 しかし、鉄鋼業界もこれを指をくわえて見ていれば、どんどんおいしいところを持っていかれてしまいますよね。そこで鉄鋼各社も新たな次世代鋼板でシェア維持を狙おうと、強度が高く軽量の鋼板の開発に切磋琢磨しています。

 これはもう、素材会社の戦国時代ですよね。そして、逆にいえば、このすぐれた自動車部品をいち早く開発できた素材会社を引きこむことで、自動車会社のシェアも、大きく変わることがありうるということです。もっといえば、この素材会社が中国や韓国の自動車会社に優秀な部品を売ってしまえば、日本車の優位性はたちどころに消えてしまうという恐ろしさも秘めているということになります。

 ちなみに炭素繊維は航空機の機体、風力発電の羽根などにも使われ、防衛関連、環境関連の重要部品にも今後なっていくでしょう。

 以上のことから素材会社の復権は近いと私は見ています。特に、いち早く古い体質から脱却し、有望分野を見極め、戦略を機敏にシフトさせた企業で飛躍するところが今後出てくるでしょう。