東芝が「HD―DVD」規格の新世代DVDから事実上撤退する見通しになった。ソニー陣営の「ブルーレイ・ディスク(BD)」との規格争いで劣勢に立たされ、事業を抜本的に見直す方針を固めた。これにより電機業界を二分してきた新世代DVDの標準規格争いは、BD方式の勝利で決着することになる。
東芝は事業の見直し策としてレコーダー(録画再生機)の販売を中止してプレーヤー(再生専用機)などに特化する案や、販売不振の日本と米国から撤退して欧州市場に専念する案の検討に入った。週内にも決める。完全撤退も「選択肢の1つ」(東芝首脳)という。
☆米ワーナー、ブルーレイに一本化・DVD規格争い、早期決着も (1・5日経)
ソニー、東芝両陣営による新世代DVDの規格争いで、米映画大手ワーナー・ブラザーズは4日、東芝陣営の「HD―DVD」規格のDVDソフト販売から撤退し、今年6月からはソニー陣営の「ブルーレイ・ディスク(BD)」規格のソフトだけを販売すると発表した。米DVD市場で20%前後のシェアを持つワーナーの戦略転換で勢力図は大きく変わり、規格争いが早期決着する可能性も出てきた。
BDを支持する映画会社のDVDソフトの販売シェアは、ワーナーのほかソニー・ピクチャーズエンタテインメント、ウォルト・ディズニー、20世紀フォックスなどをあわせて70%弱となる。HD―DVDを単独支持するパラマウント・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピクチャーズの合計シェア20%強を大きく引き離す。
ついにこの何年かの規格争いに終止符が打たれました。ソニー陣営の勝利、東芝陣営の敗北という結果に終わりました。これは1月のワーナーの離脱,、さらにそれを受けたウォルマートのBD支持の影響が大きかったですね。
しかし、この結果に至るまでの伏線は到る所に見られていました。それは東芝の事業の「集中と選択」の加速戦略に他なりません。東芝は西田社長の強力なリーダーシップの下、思い切った事業の取捨選択を進めている真っ最中です。米ウエスチングハウスの買収による原子力事業の強化、銀座東芝ビルの売却、さらにハイブリッド車用車載電池に参入などがいい例ですね。過去のしがらみに捕らわれず、有望市場に貪欲に切り込み、不採算事業は容赦なく切り捨てていく作戦です。もう、負け戦と分かっているものに無意味な時間を費やす余裕はないのです。余計なプライドも捨て去らなければ、この厳しい世界情勢の中、生き残っていくのは至難の技なのです。今から思えば、新世代DVDにおける宿敵、ソニーと交渉し、先端半導体生産設備を買収した頃からこのDVD規格争いからの撤退、少し現実味を帯びていたのではないでしょうか。
電機業界がこれから生き残っていくためには、プライドに固執した自前主義はもう捨てるべきです。各企業の強みを融通し合いながら世界市場で生き残れる製品をどんどん出していかなければ共倒れになる危険性もはらんでいます。薄型テレビにしてもプラズマ、液晶、有機ELと異なった規格が互いを疲弊させていますよね。
去年の年末にシャープと東芝が交わした提携が今後の再編の嵐を予感させます。シャープが東芝にパネルを供給、東芝がシャープに液晶テレビ用システムLSIを供給するといった内容で、互いの得意分野を融通し合い、互いの製品のレベルアップ、コストダウンにつなげようという試みです。
今後もこの流れが続くことは必至で、これらの提携がさらに資本提携、最終的には統合へとつながる可能性も出てきます。サブプライム余波で船井電気が苦境に陥ったように、いつどこで、勝ち組が負け組へ転落するか分からない時代に入っています。今後の電機業界、さらなる嵐が吹き荒れそうな予感がします。