アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国が新たにイスラム銀行「ヌール・イスラミック・バンク」(資本金10億ドル)を設立した。支店の新設や他行の買収を通じ、今後5年間で資産を世界最大に増やす計画だ。
同銀行は、ドバイ首長国政府やムハンマド首長らが出資するドバイの「国策銀行」。今後実施する買収の資金は1件あたり20億ドルを計画。最終的には、世界最大のイスラム銀行といわれるサウジアラビアのラジヒ銀行(資産は昨年9月で330億ドル)を上回ることを目指す。
カムジ最高経営責任者(CEO)は「英市場への進出が当面の目標」と述べ、英国の銀行を買収するか、英当局に新たにイスラム銀行としての営業許可を申請する方針を示した。同CEOはその他の進出先としてイスラム教徒が多いインドネシア、トルコ、エジプト、パキスタンや、欧州のフランス、ドイツなどをあげた。
☆クウェート、8兆円投じ自由貿易地区 (2・9日経NET)
クウェート政府は同国北部に新たな自由貿易地区「シティー・オブ・シルク(絹の町)」を建設する。総工費は770億ドル(約8兆2000億円)で、単独の不動産事業では中東で最大規模とみられる。年内にも着工、2030年に完成する予定。外国の金融機関、大学などを誘致、経済の多角化でアラブ首長国連邦(UAE)やカタールに追いつく狙いだ。
「絹の町」の建設計画は、クウェートでの会議で、デザインを担当する英社の幹部が明かした。建設予定地はクウェート湾北岸のスビヤで面積は200平方キロメートル。完成時には75万人が生活する。湾の対岸の首都クウェートシティーとは海上に建設する道路で結ばれ、この道路の脇には2つの人工島を設ける。
内部は(1)商業(2)レジャー・スポーツ(3)エコロジー(4)外交・教育――の4地区に分かれる。商業地区には高さ1001メートルの世界で最も高いタワーを建て日米欧の金融機関、商社などを誘致する。外交・教育地区には各国からの外交官の住居、大学のキャンパスを置く。
さて、今日のニュースを見て感じたのは、産油国同士の覇権争いが本格化してきたなぁということです。ドバイには中東のウォール街になるという野望があり、是が非でも世界最大のイスラム銀行を設立したかったのでしょう。しかし、度重なるUAEの攻勢に、サウジは黙っているでしょうか。水面下で何か準備をしていそうですよね。
産油国と一口にいっても、それぞれの国によって投資の仕方などの特徴は違います。ドバイはアブダビなどと比べて、石油の取れる量が乏しかったことから、石油依存からの脱却を早くから目指していたこともあり、金融センター、不動産開発へと傾倒していったわけです。同じUAEといえどもアブダビに対する対抗心は強く、それがかなり強引な投資姿勢に傾く要因にもなっていると思われます。
次に取り上げるのはクウェートの久々の巨額投資のニュースです。クウェートは1953年に早くもクウェート投資庁を設立し、1970年代に原油収入を海外の幅広い証券に投資し収入の多角化を図ったということからも分かるように、投資の歴史は古く、戦略に長けた侮れない国だと思います。90年代初めにスペインで投資に失敗し50億ドルを失った苦い経験を持っているので、リスクにはとても敏感になっていると思われます。産油国中唯一ドルペッグを廃止してバスケット通貨に移行したのも、リスク回避の一環といえるでしょう。米ドル安による資産の目減りを防ぐためにドル以外の通貨への分散、そして欧州やアジア、新興国への投資へとつながっていくのは産油国共通の今後の戦略となっていくでしょう。そしてドルペッグ廃止の動きには早晩他の産油国も追随するのは必至でしょうね。クウェートが中東で最大規模の不動産事業を始めたことは不動産では一番を豪語するドバイを今度は刺激するでしょうね。このように産油国同士の覇権争いが目に見える形になってきました。世界の政府系ファンドの半分ほどのシェアを持つ中東産油国マネー。この動きに世界経済も翻弄されそうです。