☆シンガポールGIC、ウェスティンホテル東京買収・770億円       (2.・3日経NET)

 シンガポール政府投資公社(GIC)は月内にも、米モルガン・スタンレーが保有するウェスティンホテル東京(東京・目黒)を約770億円で買収する。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の余波で世界的に不動産取引が冷え込むなか、日本の優良不動産がなお割安とみた海外政府系ファンドの大型投資が実現する。

 GICは2日までにウェスティン東京の土地・建物を取得することでモルガンと基本合意。今月下旬をメドに取引を完了する計画だ。GICはホテルの営業をそのまま継続し、長期保有により価値を高める方針とみられる。サブプライム問題に端を発した世界的な金融市場の混乱で、米欧のほか日本でも大型の不動産取引がほぼストップする環境のもと、GICは異例の規模の不動産投資に踏み切る。


☆不動産からマネー流出・世界のREIT、昨年ピーク比2割減    (2.・2日経NET)

 信用収縮を背景に投資マネーが不動産市場から流出している。世界の取引所に上場する不動産投資信託(REIT)の昨年末の時価総額合計はピークだった昨年3月末に比べて2割減った。不動産ファンドでも英国で個人投資家の資金引き出し要請に対応しきれず、解約制限を導入するケースが相次いでいる。投資マネー流出は不動産市況の悪化要因。株価も不安定な動きが続くなか、世界的な金融市場の動揺が実体経済に影響を及ぼすリスクが高まっている。

 REITは小口の上場証券の形で広く資金を集め、商業用施設やオフィスビルなどに投資する仕組み。世界の時価総額合計は昨年末時点で3350億ポンド(70兆円強、英AMEキャピタル集計)。昨年後半からマネーが流出し、ピークだった3月末に比べて米国で3割、英国で2割強、日本で1割強減った。急拡大していたオーストラリアやフランスでは伸びが止まっている。


 サブプライムの影響で投資ファンドのパワーがなくなり、政府系ファンドの存在感が増すという構図が不動産にも及んできました。世界の不動産市況が冷え込む中、まだまだ日本の優良不動産はいけるとみたのか、シンガポール政府投資公社(GIC)が異例の規模の案件に乗り出しました。GICは1981年に設立。中央銀行に当たる金融通貨庁(MAS)から外貨準備を預かり、国内外の株式、ブライベート・エクイティ、不動産、商品、ヘッジファンドなどで資産運用し、資産運用規模は2000億ドルを超えます。サブプライムで疲弊したUBSやシティに出資を決定、また日本では福岡市のホークスタウンを買収するなど以前から不動産投資に積極的でした。

 不動産ファンドの力が弱まってきたのは昨年の秋ごろからです。自己資金に金融機関の借り入れを加えて投資資金を膨らませないことには不動産取得のビジネスモデルは成り立ちません。しかし、サブプラム余波で多くの金融機関が不動産融資の蛇口をしめてしまったため、ファンドの投資余力は急速に減退してしまいました。その点、潤沢なキャッシュを持つ政府系ファンドは強いものです。まして、長期保有を投資の前提としているので、収益性のある不動産は安定した利回りが保証されるという点で願ったりかなったりの運用先となるのです。

 日本の不良債権を安値で買い漁ったモルガンやゴールドマン、ここにきてかなりの投資リターンを確定できる場面が多く出てきそうですね。今回の売り主のモルガン・スタンレーはこれまで総額2兆円を越える不動産を取得してきました。昨年春に全日空から13ホテルを2800億円強で買収するなど、まだまだ不動産投資の意欲は衰えていないようですが、資産価値の上がったものは、さすがに利益を確定するため売却する方針のようですね。

確かに説明のつかない値段まで上がりきった欧米や上海の不動産と比べると、日本の優良不動産の方が投資冥利につきます。世界中で保有不動産の入れ替えが模索された場合、このような買収が今後も行われる可能性は大きくなり、プレイヤーとして政府系ファンドが不動産市場でも台頭してくるでしょう。

 なんといっても、シンガポールはひとつの企業のように運用能力がずばぬけています。中国の政府系ファンドのモデルもシンガポール。となると、他国の政府系ファンドもシンガポールの行動を横目で見て、日本の優良不動産に目をつけてくる可能性が出てきました。

 さあ、強弱感の対立してきた日本の不動産市場。今後の行方に大注目です。